大学院入試対策の進め方|勉強法・スケジュール・科目別の準備
院試の勉強を始めるときは、志望する研究科・専攻の試験内容と締切を先に調べます。そのうえで過去問を解き、必要な科目と今の理解度に合わせて学習計画を作りましょう。このページは、主に修士・博士前期課程を受験する方に向けた準備の案内です。
大学院入試対策は、志望先の出願条件と試験科目を確認し、公式過去問を入手するところから始めます。英語の受験・提出日程を確保し、専門科目の復習と研究計画書の作成を並行して進めましょう。提出書類の初稿ができたら、面接・口述試験の練習にも取りかかります。
最初の1週間にすること
最初から全科目の参考書をそろえる必要はありません。まず、研究したいテーマを短い文章にし、その分野を扱う研究科と教員を探します。大学名だけで決めず、指導を希望する教員の研究と、募集する課程を確認してください。
志望先ごとに公式資料をそろえる
対象年度の募集要項、指定の出願様式、入試変更のお知らせ、公開過去問を集めます。募集要項が未公表なら、前年の資料を仮の参考とし、今年度に確定した条件と分けて記録します。
動かせない締切をカレンダーに入れる
出願登録、書類到着、英語成績提出、事前相談、個別の入学資格審査を別々に記入します。試験日だけを基準にすると、提出物の準備が間に合わなくなるためです。
過去問を1回分解き、学習の優先順位を決める
解けなかった問題を、知識不足、解き方が分からない、時間不足に分けます。研究計画書や口述試験を中心に選考する場合は、提出書類の下書きと研究説明から始めます。
準備状況と締切のチェック
募集要項を手元に置き、準備できた項目と、まだ確認できていない項目を選んでください。取り組む順番と各項目の解説を表示します。結果はテキスト形式で保存でき、志望先や復習記録を追記できます。画面に表示した結果の印刷もできます。院試クラウドが作成した学習用の整理表です。
登録不要・無料。入力内容は保存・送信せず、この画面内で処理します。ページを閉じる前に、作成したシートを保存してください。
半年間の対策スケジュール例
以下は、筆記試験と研究計画書・口述試験がある場合に、試験日から逆算した半年間の学習例です。出願書類と英語成績は、それぞれの提出期限に間に合うよう、表より早い時期に準備する場合があります。大学が定めた標準期間や、合格に必要な期間を示すものではありません。
週の計画は、参考書を読む時間だけで埋めず、問題を解く日、解き直す日、書類を直す日を分けましょう。平日にまとまった時間を取りにくい方は、語彙や用語の復習を短時間で進め、休日に答案作成や研究計画の修正をまとめる方法もあります。
| 試験日までの期間 | 学習・準備 | 終わったか確かめるもの |
|---|---|---|
| 6〜5か月前 | 志望先を比較し、過去問を試す。英語試験の日程を確認する。 | 科目・提出物・締切の一覧と、苦手分野のメモ |
| 4〜3か月前 | 専門科目の基礎を復習し、先行研究を読む。研究計画の初稿を書く。 | 自力で説明できる基本事項と、研究の問い・方法を書いた初稿 |
| 2か月前 | 時間を測って過去問を解く。研究計画を修正し、出願書類をそろえる。 | 解き直した答案と、提出条件に合う書類 |
| 1か月前〜直前 | 弱点を復習し、研究内容の説明と質疑応答を練習する。 | 根拠を示して答えられる説明、受験票、当日の持ち物 |
募集要項から必要な対策を選ぶ
同じ大学の大学院でも、専攻・コース・入試区分によって試験が変わります。たとえば、お茶の水女子大学の2027年度博士前期課程一般入試では、理学専攻の数学、物理科学、化学・生物化学、情報科学の4コースで選考方法が分かれています。研究科全体の説明だけで受験科目を決めないでください。
- 入学年度、課程、専攻・コース、入試区分を特定した
- 出願資格と個別の入学資格審査の要否を確認した
- 筆記・外国語・口述試験の科目、試験時間、選択方法を確認した
- 英語試験の種類、受験日の有効範囲、成績の提出方法を確認した
- 研究計画書や卒業論文等の様式、字数、提出期限を確認した
- 指導希望教員への事前連絡の要否を確認した
- 出願登録と郵送・アップロードの締切を分けて記録した
過去問は出題範囲と答案の書き方を調べる
過去問は大学の入試ページから探し、実施年度・課程・専攻・入試区分を記録します。問題が公開されていても、公式解答や配点が公表されているとは限りません。大学の解答と、自分や教材の解説を区別して使いましょう。
最初の1回は、分からない箇所を把握するために解きます。その後は、問われた知識、使った方法、説明が足りなかった箇所を問題ごとに記録します。解答を読んだ翌日以降に、何も見ずに解き直すところまでを一組にしてください。
過去の出題をそのまま今年の試験範囲と考えず、募集要項と入試変更のお知らせも読みます。問題を入手できない場合は、募集要項の科目を基に学部の教科書や演習で準備し、それを実際の過去問と混同しないようにします。
過去問の結果を今週の勉強に変える
過去問を解いた後は、点数だけを残さず、止まった理由と次の作業を一組にします。以下は、実際の入試問題を引用したものではなく、復習方法を示す独自の学習例です。
| 答案で起きたこと | 次にすること | 復習後に確かめること |
|---|---|---|
| 用語の意味を書けなかった | 教科書の定義と具体例を読み、資料を閉じて説明を書く。 | 定義に必要な条件を落とさず、例と区別して説明できるか。 |
| 公式を覚えていたが、どこで使うか判断できなかった | 問題の条件と公式の前提を並べ、適用できる理由を一行ずつ書く。 | 数値や条件を変えた類題でも、自分で使う方法を選べるか。 |
| 知っている内容を書いたのに、設問への答えにならなかった | 『比較』『理由』『定義』など、設問が求める作業を確認して答案を組み直す。 | 最初の一文が問いへの答えになり、その後に根拠が続いているか。 |
| 時間内に解き終わらなかった | 大問ごとの所要時間を記録し、途中式や説明を省かずに時間を短くできる箇所を探す。 | 見直し時間も含めて、指定時間内に答案を完成できるか。 |
英語は外部試験と専門分野の読解を分ける
外部試験の成績を提出する入試では、使える試験の種類と受験方式を先に確認します。TOEFL、TOEIC、IELTSのどれでもよいとは限りません。成績が届く日、大学への直送の要否、有効期間も含めて受験日を決めます。
大学独自の英語試験がある場合は、過去問で和訳、要約、内容説明などの形式を確認します。辞書の持込みが認められるかも条件の一つです。専門分野の文章を読み、主張・根拠・限界を日本語で短く説明する練習を、指定された試験形式に合わせて進めましょう。
専門科目は基礎の復習と答案作成を往復する
過去問で解けなかった内容を、学部の授業や教科書の章に対応させます。参考書を増やす前に、用語の定義、公式が成り立つ条件、代表的な問題を説明できるか確かめてください。
計算問題では結論だけでなく、仮定、式の導出、単位や条件を答案に残します。論述問題では、設問への答えを先に置き、定義、根拠、具体例を続けます。問いが『比較せよ』なのに、片方の説明だけで終わっていないかも見直しましょう。
一つの分野を復習する
過去問の弱点に対応する教科書の章を読み、定義と基本例題を確認します。
資料を閉じて答案を書く
途中式や根拠を省かずに書きます。分からなかった箇所は空欄のまま残し、後で復習する場所を明確にします。
答案の不足を確かめる
知識の誤り、論理の飛躍、設問の読み違い、時間不足を分けて見直します。公式解答がない場合は、教科書や授業資料に戻って根拠を確認します。
研究計画書は問い・先行研究・方法をそろえる
研究計画書では、何を明らかにしたいか、その問いに取り組む理由、調べる方法をつなげて説明します。先行研究とは、同じテーマや近い問題に取り組んだ既存の研究です。何が分かっていて、どこに未解決の点があるかを整理します。
放送大学の『研究計画の作成』は、目的、背景、方法、期待される成果を整理する際の参考になります。ただし、提出する文章の項目・字数・様式は志望先の指定に合わせます。
学習例として『地域の図書館利用を調べたい』という関心を考えます。対象地域と期間を決め、利用実態のどの点を問うのか、統計・資料・調査のどれを使うのか、必要なデータを得られるかを書き出してください。これは問いを絞る練習であり、大学の過去問や合格答案ではありません。
面接・口述試験は提出書類から練習する
口述試験は、試験官の質問に口頭で答える試験です。研究計画や卒業研究の説明に加えて、専門知識を問う場合があります。発表資料の要否や持ち時間は募集要項で確認し、指定された形式で練習します。
まず、提出した書類の各段落について『なぜそう考えたか』『何を根拠にしているか』『別の方法ではどうか』と自分に問いかけます。知らない点を見つけたら、調べて修正した内容と、現時点で答えられない範囲を分けましょう。
- 研究テーマと志望先の研究分野の関係を説明できる
- 研究方法を選んだ理由と限界を説明できる
- 卒業研究で自分が担当した範囲を説明できる
- 提出書類、発表、質疑応答で数値や主張が一致している
受験当日の確認
受験票、集合時刻、会場、持ち物を受験案内と照らし合わせます。筆記用具や辞書、計算機などは、持ち込みが認められている物と条件を確認してください。オンライン受験の場合は、接続方法、必要な機器、接続テストの案内を確認します。
- 受験票と本人確認書類など、指定の持ち物をそろえた
- 試験開始時刻と集合時刻を分けて確認した
- 会場までの経路、またはオンライン試験の参加手順を確認した
- 大学からの変更のお知らせと、当日の連絡先を確認した
大学・研究科・専攻ごとの対策を読む
科目ごとの勉強法を確認したら、志望先の入試情報に戻りましょう。以下のお茶の水女子大学の5専攻では、2027年度博士前期課程一般入試の日程、選考方法、出願前の準備を専攻別にまとめています。各ページの出典から募集要項の該当箇所も開けます。
受験準備で使う用語
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 募集要項 | 出願資格、提出書類、日程、選考方法などを大学が定めた資料。対象年度と課程を確認して使います。 |
| 先行研究 | 同じテーマや近い問題について、これまでに行われた研究。自分の問いと既存の知見の関係を考えるために読みます。 |
| 研究計画書 | 入学後に何を、なぜ、どのような方法で研究するかをまとめる書類。指定項目や分量は志望先によって異なります。 |
| 口述試験・口頭試問 | 質問に口頭で答える試験。研究の説明や専門知識の確認など、内容と実施方法は志望先によって異なります。 |
| 外部英語試験 | TOEFL、TOEIC、IELTSなど、大学院の入試とは別に受験する試験。どの試験・方式の成績を使えるかは募集要項で決まります。 |
大学院入試対策で迷いやすいこと
独学でも準備できますか
募集要項、過去問、基礎を学ぶ教材をそろえ、答案の根拠を自分で確かめられるかを見ます。研究計画や口述の説明に不安がある場合は、所属大学の教員などに相談し、どこが伝わりにくいかを確認する方法もあります。
参考書は何冊必要ですか
冊数を先に決めず、志望先の試験範囲と弱点に対応する教材を選びます。一冊を読んだことよりも、基本問題を自力で解けるか、用語や手順を説明できるかで進み具合を確かめます。
他大学・異分野から受験するときは何を追加しますか
出願資格に加え、研究にどのような基礎知識が必要か、希望する教員から自分の研究テーマの指導を受けられるかを確認します。専攻名が似ていても学ぶ内容が一致するとは限らないため、公式シラバスや教員の研究内容を読み、補う科目を決めます。
大学別の具体例
大学・専攻ごとの指定書式や試験内容を、公式資料に基づく記事で確認できます。条件は記載年度・確認日時点のもので、現在の募集状況は各大学の最新案内を確認してください。
東京大学 · 技術経営戦略学専攻
第3章 4ページ調査票を研究計画へ変える
東京大学TMIの指定4ページ調査票で、研究の問い・比較条件・研究方法をどう配置するかを確認します。
2027年度入試 · 公式情報の確認日大阪大学 · 情報基礎数学専攻
第3章 令和8年度数学5問を正確に読む
大阪大学の令和8年度数学5問を、公式問題と独自解説に分けて読み、答案の作り方を確認します。
2027年度入試 · 公式情報の確認日京都大学 · 教育学環専攻
第3章 研究経過報告書・研究計画書・エビデンス資料
京都大学教育学環専攻の研究経過報告書・研究計画書・成果資料を整理します。
2027年度入試 · 公式情報の確認日名古屋大学 · 情報・通信工学専攻
第3章 取得済み公式過去問と独自答案
名古屋大学の情報通信分野で、公式過去問・公式解答・独自答案を区別して確認します。
2027年度入試 · 公式情報の確認日
確認した公式・公的情報
記事の構成にあたり、以下の公式ページを2026年9月20日に確認しました。入試条件は年度・研究科・選抜区分で変わるため、出願時は必ず志望先の最新情報を確認してください。
- お茶の水女子大学『2027年度 博士前期課程 学生募集要項』
冊子7〜8ページの募集区分・日程、17〜27ページの一般入試を参照。専攻やコースごとに試験が異なる具体例として使用しています。
- お茶の水女子大学『大学院募集要項』
2027年度の募集要項と所定様式の掲載先。大学別ガイドから原資料を確認するための入口です。
- 放送大学『研究計画の作成』
研究目的・背景・方法・成果を整理する考え方を参照しました。各大学院の指定様式を置き換えるものではありません。