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出典付き・公開プレビュー

第5章 2026年度公式過去問を一問ずつ読む

東京大学 大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 修士課程の院試対策講座から、バイオエンジニアリング専攻の受験生が化学を選んだ場合に解く共通問題から、第1問Iだけを扱います。問題文と大学公表事項、本書独自の読み方・答案を分離します。

対象年度
2027年度
公式情報確認
2026年8月28日
公開本文
2,264
参照資料
5
01

2026年度・修士課程・一般入試・化学・第1問I

井戸型ポテンシャル、規格化、HOMO-LUMO遷移を扱う小問です。

大学公式の事実

大学公式の事実:実施日、課程、入試区分、科目、問題番号

大学が公表した募集要項、規則、教育資料、教員資料または入試問題に書かれた範囲です。

対象は、2025年8月26日9時00分から11時00分に実施された、東京大学大学院工学系研究科2026年度修士課程一般入試の「化学」です。扱うのは、第1問「物理化学」のうちI、小問1〜3です。2026年度バイオエンジニアリング専攻修士課程入試案内が実施日と時刻を示し、公式問題冊子の表紙は、応用化学専攻とバイオエンジニアリング専攻の受験生に三問から任意の二問を解くよう指定しています。

第1問Iは、0≦x≦lの一次元無限深井戸を動く電子を考えます。境界条件ψ(0)=ψ(l)=0、一般解ψ(x)=A cos(αx)+B sin(αx)、α²=8π²mE/h²が与えられます。小問1はエネルギー固有値、小問2は規格化された波動関数の定数A、B、小問3は図1.1の共役分子のHOMO-LUMO遷移に対応する吸収波長を求めます。

大学が公表していない情報

大学が公表していない情報:解答例、採点基準、出題意図

2026年8月28日時点で該当する公開一次資料に記載がないため、数値や条件を推測で補っていません。

工学系研究科の公式過去問ページには2026年度の数学、物理学、化学の問題冊子が掲載されています。確認できた公開ページと化学問題冊子には、大学による模範解答、採点基準、配点、出題意図が掲載されていません。作問者も公表されていません。

本書による説明

本書による説明:以下の読み方と答案例は大学公表ではない

複数の一次資料を比べ、受験生が制度と研究内容を一緒に読める形へ本書が整理した説明です。

以下の問題文の読み方、答案構成、具体的な式、失点例は全て本書独自です。大学の正解例でも、大学が認めた唯一の解法でもありません。作問者は大学が公表していないため、作問者を推定しません。

02

問題文の読み方と答案の組み立て

与えられた境界条件から、何を順番に示すか決めます。

本書の提案

本書独自の読み方:最初に境界条件を二つ使う

大学が指定した答案や唯一の準備法ではなく、公開された一次資料に基づく本書の提案です。

一般解へx=0を代入すると、ψ(0)=A=0です。次にx=lを代入すると、B sin(αl)=0です。波動関数が全てゼロになるB=0は粒子が存在しない解なので除き、sin(αl)=0、すなわちαl=nπを得ます。n=0も波動関数が全てゼロになるため除き、n=1,2,3,…です。

この問題は、式(3)を知っているかだけでなく、境界条件から量子数が離散化される過程を書けるかを見ます。答案では「無限深井戸だから」だけで式を飛ばさず、ψ(0)、ψ(l)、B≠0の三点を短く残します。

本書の提案

本書の提案:七段階で答案を組み立てる

大学が指定した答案や唯一の準備法ではなく、公開された一次資料に基づく本書の提案です。

答案は、①ψ(0)=0からA=0、②ψ(l)=0からαl=nπ、③α²とEの関係へ代入、④規格化積分でBを決定、⑤図のπ電子数を数えてHOMOとLUMOを決定、⑥エネルギー差ΔEを計算、⑦ΔE=hc/λから波長を出す、の順にします。

問題文のlは井戸幅、図1.1のLは共役結合の全長です。小問1・2ではl、小問3ではLへ読み替えます。hとℏを混ぜず、問題文がhを使っているので、最終式もhでそろえます。

03

本書独自の具体的な答案例

固有値、規格化、電子占有、吸収波長を途中式から示します。

本書の提案

本書独自答案:小問1と小問2

大学が指定した答案や唯一の準備法ではなく、公開された一次資料に基づく本書の提案です。

ψ(0)=A=0である。ψ(l)=B sin(αl)=0であり、B=0は自明な零解となるので、sin(αl)=0である。したがってαl=nπ、α=nπ/l(n=1,2,3,…)である。

α²=8π²mE/h²へ代入すると、n²π²/l²=8π²mE/h²であるから、E_n=n²h²/(8ml²)を得る。

A=0なのでψ_n(x)=B sin(nπx/l)である。規格化条件∫_0^l |ψ_n(x)|² dx=1を用いると、|B|²(l/2)=1、|B|=√(2/l)である。全体の符号は物理的確率に影響しないため、B=√(2/l)を選べば、ψ_n(x)=√(2/l) sin(nπx/l)である。

本書の提案

本書独自答案:小問3

大学が指定した答案や唯一の準備法ではなく、公開された一次資料に基づく本書の提案です。

図1.1の共役分子には二十二個のπ電子がある。一つの空間状態にはスピンの異なる二電子まで入るので、n=1からn=11までが占有される。したがってHOMOはn=11、LUMOはn=12である。井戸幅を共役結合の全長Lとすると、

ΔE=E_12-E_11={(12²-11²)h²}/(8mL²)=23h²/(8mL²)。

光子のエネルギーΔE=hc/λを用いると、

λ=hc/ΔE=8mcL²/(23h)。

よって、この模型によるHOMO-LUMO遷移の吸収波長は8mcL²/(23h)である。

本書による説明

本書による説明:用語を短く理解する

複数の一次資料を比べ、受験生が制度と研究内容を一緒に読める形へ本書が整理した説明です。

境界条件は、波動関数が井戸の端で満たす条件です。規格化は、電子を井戸のどこかで見つける確率の合計を一にする操作です。量子数nは、境界条件を満たす許された状態を区別する正の整数です。

HOMOは電子が入っている最も高いエネルギーの軌道、LUMOは電子が入っていない最も低いエネルギーの軌道です。HOMO-LUMO遷移では、この二状態のエネルギー差と同じエネルギーを持つ光を吸収します。井戸型ポテンシャルは実際の分子を単純化した模型であり、分子の吸収を完全に再現する計算ではありません。

04

失点しやすい書き方と化学選択の時間配分

正しい式だけでなく、根拠と科目選択条件を答案へ残します。

本書の提案

本書の提案:六つの失点例

大学が指定した答案や唯一の準備法ではなく、公開された一次資料に基づく本書の提案です。

第一に、ψ(0)=0を書かずA=0だけを置くこと。第二に、n=0を許すこと。第三に、規格化積分をせずB=1とすること。第四に、一状態へ電子を一個ずつ入れてHOMOをn=22とすること。第五に、12²-11²を12-11として係数23を落とすこと。第六に、lとL、hとℏを途中で混ぜることです。

最終式λ=8mcL²/(23h)が長さの次元になるか確認します。式だけを並べず、「B=0は零解なので除く」「一状態に二電子入る」のように、選択の理由を一文ずつ添えます。

本書の提案

本書の提案:化学120分は二問を選ぶ時間も含む

大学が指定した答案や唯一の準備法ではなく、公開された一次資料に基づく本書の提案です。

バイオエンジニアリング専攻で化学を選ぶと、物理化学、無機化学、有機化学の三問から二問を120分で解きます。開始後の最初の十分で三問の小問を見て、すぐ解けるもの、方針が立つもの、時間がかかるものに分けます。二問を決めたら各五十分、最後の十分を見直しに使う練習をします。

第1問Iだけが解けても、第1問には触媒表面反応や酵素反応の設問が続きます。選択は問題番号単位なので、第1問全体を一枚の答案として完成させる必要があります。本章の答案例は、化学第1問全体の一部であり、これだけで一問分の対策が完了するわけではありません。

REFERENCES

この章で確認した一次資料

公開本文の作成にあたり、以下の資料を確認しました。入試条件は変更されるため、出願時は必ず大学の最新情報と照合してください。