第5章 教育課程・受入可能教員・三つの原著研究例
東京大学 大学院 新領域創成科学研究科 複雑理工学専攻の院試対策講座から、2026年度教育資料と2027年度受入可能教員を分け、研究を対象・方法・数値・限界から具体的に読みます。
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- 院試クラウド編集部
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- 2027年度
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複雑な現象を共通の方法で研究する
熱機関、金星大気、災害画像を、モデル・観測・計算・限界という共通軸で比べます。
大学公式の事実:モデリング・計測データ解析・機械学習を研究の柱にする
科目群と研究の三本柱は専攻の公式案内・研究分野・研究室ページに基づく大学公式の事実です。
専攻のカリキュラム図は、コアプログラムとして計測情報処理論、非線形システム解析論I・IIを置き、モデル・解析、脳・バイオ、宇宙・探査、物質、プラズマの科目群と、複雑理工学輪講・特別研究を示します。専攻公式ページは複雑系プラットフォームの三本柱を、モデリング、計測データ解析、機械学習と説明します。対象は生体、惑星、物質など多様ですが、測る、モデルを作る、計算で確かめるという方法を共有します。これは研究領域の説明で、入試出題範囲ではありません。
大学公式の事実:2026年度便覧では30単位以上と修士(科学)
修了要件と学位は大学院学則と2026年度便覧に基づく大学公式の事実で、年度境界を明示しています。
東京大学大学院学則の一般原則では、修士課程は原則2年以上在学し、30単位以上を修得し、必要な研究指導を受け、修士論文の審査と最終試験に合格することが基本要件です。2026年度の新領域創成科学研究科便覧では、複雑理工学専攻は複雑理工学輪講Iと複雑理工学特別研究Iを含め30単位以上を履修し、授与学位は修士(科学)です。これは2026年度の公式参考であり、2027年度入学者は入学年度の便覧・規則を確認します。
大学公式の事実:2027年度受入可能一覧は基幹16名、連携・兼担6名
氏名、区分、特別口述の第1志望制限は2027年度学生受入可能教員一覧と専攻案内に基づく大学公式の事実です。
基幹教員は江尻晶、篠原孝司、辻井直人、郡宏、小林亮太、泉田勇輝、佐々木岳彦、篠田裕之、牧野泰才、吉川一朗、吉岡和夫、今村剛、青西亨、杉山将、横矢直人、石田隆の16名です。連携・兼担教員は林久美子、田中智、藤澤茂義、藤堂泰、徳澤季彦、佐藤雅彦の6名です。特別口述の第1志望は基幹教員に限られます。受入可能という表示は、教員別人数、希望どおりの配属、合格可能性を保証しません。
大学公式の事実:泉田勇輝准教授は熱機関を数理モデルで研究する
現職、専門、研究対象、2027年度受入可能一覧への掲載は大学公式プロフィール等に基づく事実です。
泉田勇輝准教授は複雑システム講座に所属し、非平衡熱統計力学と非線形動力学を専門とします。有限時間熱機関、結合振動子、低温度差スターリングエンジンの数理モデルを研究し、2027年度の受入可能な基幹教員一覧にも掲載されています。
本書による説明:小さな温度差で動くエンジンを非線形モデルで読む
原著論文の方法・結果・適用限界を18歳向けに整理した本書による説明です。
熱統計力学は、多数の粒子からなる系で熱やエネルギーがどう移り、平衡から外れた状態で何が起こるかを、確率と数式で記述する分野です。2020年の原著論文は、低温度差スターリングエンジンの非線形モデルへ負荷トルクを入れ、準線形応答、応答係数の対称性、モデル上の最大効率を定式化しました。熱を仕事へ変える効率と、単位時間にどれだけ仕事を取り出すかという仕事率は同じではありません。極端にゆっくり動かして効率を高めても、時間当たりの仕事は小さくなり得ます。論文は数理モデルの結果で、実機が最大効率を達成したこと、廃熱発電として実用化済みであること、大出力を保証するものではありません。
大学公式の事実:今村剛教授は金星大気と惑星探査を研究する
現職、専門、観測方法、2027年度受入可能一覧への掲載は大学公式資料に基づく事実です。
今村剛教授はアストロバイオロジーモジュールに所属し、惑星大気と惑星探査を専門とします。金星探査機あかつきの赤外線・紫外線リモートセンシング、電波掩蔽、数値モデルを用いて大気循環を研究し、2027年度の受入可能な基幹教員一覧にも掲載されています。
本書による説明:金星の夜側まで雲を追い、大気の波を分ける
原著論文の観測方法・結果・限界を18歳向けに整理した本書による説明です。
リモートセンシングは、対象へ直接触れず、届く光や電波を測って温度、雲、流れなどを調べる方法です。2021年の原著論文は、熱赤外画像で高度約65 kmの雲頂風を昼夜にわたり追跡し、夜側の赤道向き流れを確認して半日周期の大気潮汐を分離しました。雲模様の移動から風を測り、昼側と夜側を合わせることで、南北循環と周期的な波を比べます。大気潮汐は海の満ち引きではなく、周期的な加熱などで生じる大気中の大規模な波です。結果は超回転を支える要因の一つを検討したもので、金星大気の全高度や超回転原因を完全に解明したものではありません。
大学公式の事実:横矢直人教授は衛星画像と機械学習を研究する
現職、専門、研究手法、2027年度受入可能一覧への掲載は大学公式資料に基づく事実です。
横矢直人教授は複雑システム講座に所属し、画像処理、機械学習、モデリングを基盤として、衛星リモートセンシングと位置情報付き地上データから都市・自然環境の変化を捉える研究を行います。2027年度の受入可能な基幹教員一覧にも掲載されています。
本書による説明:災害前の光学画像と災害後のSAR画像を組み合わせる
原著論文のデータ規模・方法・限界を18歳向けに整理した本書による説明です。
衛星画像は地表を広く繰り返し観測できますが、光学画像とレーダー画像では測っている物理量と見え方が異なります。2025年のBRIGHT原著論文は、災害前の光学画像と災害後のSAR画像を組み合わせるデータセットを報告しました。14災害事象・23地域、0.3~1 mの画素寸法、4,246画像対、無被害・損傷・全壊の3ラベル、7モデルの基準評価を示します。光学画像は直感的ですが雲や煙の影響を受け、SARはマイクロ波の反射を測るため見え方が異なります。全天候という表現は、あらゆる条件で正確に自動判定できる意味ではありません。部分損傷、位置合わせ、地域偏り、単偏波SARなどの限界があります。
本書による説明:三研究をモデル・観測・計算・限界で比べる
公式研究分野、教員プロフィール、原著論文を共通の研究手順で整理した本書による説明です。
熱機関、金星大気、災害画像は対象が大きく違います。しかし、複雑な現象を観測またはモデル化し、重要な変数を選び、数理・計算で関係を調べ、結果が使える範囲と使えない範囲を示す流れは共通します。スターリングエンジンではモデルと負荷、金星では画像と風、大規模災害では異なるセンサーの画像とラベルが中心です。三例を横断して読むことで、専攻公式のモデリング・計測データ解析・機械学習という柱を具体化できます。研究例は入試問題の予告でも、同じテーマへの配属保証でもありません。
大学が公表していない情報:2027年度の個人テーマと指導条件は確定できない
公開一次資料で確認できる研究内容と、大学が公表していない個別指導条件を分離しています。
2027年度に各科目が同じ担当・曜日で開講されるか、教員ごとの受入人数、合格者の個人研究テーマ、各設備やデータの利用条件、どの教員が主指導・副指導を担うか、原著論文と同じテーマを修士学生が担当できるかは、確認した公開資料だけでは確定できません。受入可能教員一覧への掲載、現職プロフィール、過去の原著論文は、それぞれ異なる事実です。これらを結んで配属可能性や設備利用を保証せず、2027年度の案内と教員への相談で確認する事項として残します。
この章で確認した一次資料
公開本文の作成にあたり、以下の資料を確認しました。入試条件は変更されるため、出願時は必ず大学の最新情報と照合してください。
- 令和8(2026)年度 東京大学大学院便覧(新領域創成科学研究科)
東京大学大学院新領域創成科学研究科|資料:2026年度|確認:2026-08-31|参照箇所:PDF物理p.2は研究科規則、p.10付近は複雑理工学専攻の修了要件、pp.22-23は学位表、pp.27-29は2026年度科目、pp.68-73は教員一覧。2027年度の開講・担当・曜日を保証しない。
- 東京大学大学院学則
東京大学|資料:current official rules; checked 2026-08-31|確認:2026-08-31|参照箇所:PDF物理p.3第5条。修士課程は原則2年以上、30単位以上、必要な研究指導、修士論文審査、最終試験を基本要件とする。在学期間特例の適用可否は推定しない。
- 2027年度 複雑理工学専攻 入試案内/志望調査票(修正版)
東京大学大学院新領域創成科学研究科 複雑理工学専攻|資料:2027年度入試用・修正版(PDF内公表日記載なし)|確認:2026-08-31|参照箇所:PDF物理pp.3-25は研究紹介、p.26はカリキュラム、p.27は日程・核融合研究教育プログラム、p.28は一般選抜、p.29は特別口述、pp.43-45は提出書類チェックシート。
- 2027年度 複雑理工学専攻 学生受入可能教員一覧
東京大学大学院新領域創成科学研究科 複雑理工学専攻|資料:2027年度入試用(PDF内公表日記載なし)|確認:2026-08-31|参照箇所:PDF物理p.1全文。基幹教員16名、連携・兼担教員6名。受入可能は個別人数、配属確約、合格可能性を意味せず、特別口述の第1志望は基幹教員に限る。
- 複雑理工学専攻 研究分野
東京大学大学院新領域創成科学研究科 複雑理工学専攻|資料:current|確認:2026-08-31|参照箇所:複雑系プラットフォームのモデリング・計測データ解析・機械学習、脳・バイオ、アストロバイオロジー、極限物質の説明。入試出題範囲ではない。
- 複雑理工学専攻 研究室一覧
東京大学大学院新領域創成科学研究科 複雑理工学専攻|資料:current|確認:2026-08-31|参照箇所:各モジュールの研究室、教員、研究キーワード、研究説明。2027年度の受入可否は学生受入可能教員一覧と別に確認する。
- 今村剛 教授プロフィール
東京大学大学院新領域創成科学研究科|資料:current|確認:2026-08-31|参照箇所:複雑理工学専攻教授。惑星大気・惑星探査を専門とし、金星探査機あかつきの赤外線・紫外線リモートセンシング、電波掩蔽、数値モデルを用いる。
- 泉田勇輝 准教授プロフィール
東京大学大学院新領域創成科学研究科|資料:current; 2025-04から現職|確認:2026-08-31|参照箇所:複雑システム講座准教授。非平衡熱統計力学、非線形動力学、有限時間熱機関、結合振動子、低温度差スターリングエンジンを研究する。
- Quasilinear irreversible thermodynamics of a low-temperature-differential kinematic Stirling heat engine
American Physical Society, Physical Review E 102, 012142|資料:2020-07-21|確認:2026-08-31|参照箇所:Abstract、著者所属、記事情報、DOI 10.1103/PhysRevE.102.012142。非線形モデル、負荷トルク、準線形応答、応答係数の対称性、モデル上の最大効率。実機の性能や実用化を示す論文ではない。
- The nightside cloud-top circulation of the atmosphere of Venus
Nature 595, 511–515|資料:2021-07-21|確認:2026-08-31|参照箇所:Abstract、著者情報、データ利用情報、DOI 10.1038/s41586-021-03636-7。高度約65 kmの昼夜雲頂風、夜側の赤道向き流れ、半日周期大気潮汐。超回転原因の完全解明ではない。
- 横矢直人 教授プロフィール
東京大学大学院新領域創成科学研究科|資料:current; 2025-04から教授|確認:2026-08-31|参照箇所:画像処理、機械学習、モデリング、衛星リモートセンシング、位置情報付き地上データによる都市・自然環境変化を研究する。
- Bright: a globally distributed multimodal building damage assessment dataset with very-high-resolution for all-weather disaster response
Earth System Science Data 17, 6217–6253|資料:2025-11-18|確認:2026-08-31|参照箇所:Abstract、§§1-2、§4.2、§5.1、§6、DOI 10.5194/essd-17-6217-2025。14災害・23地域、0.3~1 m、4,246画像対、3被害ラベル、7モデル。部分損傷、位置合わせ、地域偏り、単偏波SAR等の限界を含む。