第3章 指導教員候補を授業・最近の研究・研究条件まで比べる
東京大学 大学院医学系研究科 国際保健学専攻(修士課程)の院試対策講座から、2027年度受入予定の3教授を例に、専門、前年授業、一次論文、研究拠点、修士で確認すべき利用条件を整理します。
- 対象年度
- 2027年度
- 公式情報確認
- 2026年8月24日
- 公開本文
- 2,017字
- 参照資料
- 11件
橋爪真弘教授:気候曝露から疾病負担まで推定する
環境疫学、プラネタリーヘルス、統計モデルを研究質問とデータへ落とします。
大学公式の事実:橋爪真弘教授
募集要項・入学試験案内・規則等に明記された範囲です。
橋爪真弘教授は、2027年度の国際保健政策学で受入予定です。研究分野は気候変動、環境疫学、プラネタリーヘルスです。2026年度の前年科目表では、Chris Fook Sheng Ng准教授と国際保健政策学特論Ⅰ・Ⅱを担当し、医学部3号館N507またはオンラインで開講予定です。
2024年の共著論文では、日本の気温に起因する死亡・疾病負担が、気候と人口の将来シナリオ、死因、年齢、性別によってどう変わるかを全国規模のモデルで推定しています。単に「温暖化は健康に悪い」と述べる研究ではなく、気温と健康の非線形関係、人口構造、疾病負担を数量化する研究です。2027年度一覧で教授として掲載されるため、本章で確認できる指導課程は修士課程です。
大学が公表していない情報:利用できる個別データと計算資源
2026年8月24日時点の公開一次資料では確認できないため、推測で補っていません。
Global Health Policy教室と前年の授業場所、気候・大気汚染曝露と健康影響を統計モデルで扱う研究は確認できます。しかし、入学する修士学生が利用できる死亡個票、医療データ、気象再解析データ、将来シナリオ、計算サーバー、共同研究先、2027年度の受入人数は公表されていません。公開論文で使われたデータを、学生が同じ条件で使えるとは限りません。
藤本明洋教授:ゲノム変異をアイソフォーム機能へ結ぶ
集団遺伝学・がんゲノミクスと、ロングリード解析・機能検証の接点を確認します。
大学公式の事実:藤本明洋教授
募集要項・入学試験案内・規則等に明記された範囲です。
藤本明洋教授は、2027年度の人類遺伝学で受入予定です。専門は人類遺伝学、集団遺伝学、がんゲノミクス、人類進化です。2026年度の前年科目表では人類遺伝学特論Ⅰ・Ⅱを担当し、オンライン、対面時はCRC棟656と記載されています。教員ページには人類遺伝学演習Ⅰ・Ⅱ、実習Ⅰ・Ⅱも担当科目として載っています。
2025年のGenome Biology論文では、健康な日本人67人のB細胞をロングリードRNA解析し、17,119のアイソフォーム発現量に関係するeQTLを同定しました。その70.6%は遺伝子全体の発現量だけを見る解析では検出されず、ゲノム編集やスプライシング実験による機能検証も行っています。researchmapは藤本教授の東京大学医学系研究科所属とゲノム科学等の研究分野、同論文を掲載しています。
大学が公表していない情報:シーケンサー・試料・データの利用条件
2026年8月24日時点の公開一次資料では確認できないため、推測で補っていません。
CRC棟656、ゲノム・トランスクリプトーム解析を行う研究室、ロングリードとゲノム編集を使う研究実績は確認できます。しかし、修士学生が利用できるシーケンサー、B細胞やがん試料、既存全ゲノムデータ、計算環境、解析ソフト、倫理審査後のアクセス範囲、研究費は公開資料にありません。研究計画書で特定装置や患者試料の利用を断定せず、既存データ解析から始められるかも含めて相談する必要があります。
Moi Meng Ling教授:ウイルス学・免疫・疫学を往復する
デング等のフラビウイルス研究を、基礎実験、診断・治療開発、フィールド調査に分けます。
大学公式の事実:Moi Meng Ling教授
募集要項・入学試験案内・規則等に明記された範囲です。
Moi Meng Ling教授は、2027年度の発達医科学で受入予定です。研究分野は、ウイルス感染症、熱帯・新興再興感染症、免疫学、疫学、フィールド調査、診断薬・ワクチン・治療法の開発です。2026年度の前年科目表では発達医科学特論Ⅰ・Ⅱを担当し、医学部3号館S106、N302またはオンラインで開講予定です。
2024年の東京大学発表では、siRNAとアプタマーを組み合わせたキメラRNAによりデングウイルス複製を抑える研究を報告しています。2026年には、日本とマレーシアを結ぶiPREP-Flavivirusを始動し、流行地のコホート、分子疫学、診断、治療、ワクチン、人材育成を結ぶ枠組みを示しました。2027年度一覧で教授として掲載されるため、本章で確認できる指導課程は修士課程です。
大学が公表していない情報:病原体・動物・臨床試料へのアクセス
2026年8月24日時点の公開一次資料では確認できないため、推測で補っていません。
発達医科学研究室が医学部3号館N302にあり、ウイルス学、免疫、遺伝学、臨床データ、フィールド研究を組み合わせることは確認できます。一方、個々の修士学生が扱える病原体、封じ込め設備、培養細胞、動物、患者試料、海外コホート、渡航機会は公表されていません。病原体を扱う研究では、安全講習、施設区分、倫理・輸送・共同研究契約に左右されます。公開された研究枠組みへの参加が自動的に保証されるわけではありません。
三人の教員を同じ物差しで比べる
対象、データ、方法、確認すべき条件、前年授業を一表で比較します。
本書の提案:研究計画に直結する5列比較
大学が指定する答案や手順ではなく、公開資料に基づく本書の提案です。
| 比較項目 | 橋爪教授 | 藤本教授 | Moi教授 |
|---|---|---|---|
| 主な対象 | 集団、気候・環境曝露、疾病負担 | ゲノム、集団、がん、転写産物 | ウイルス、宿主免疫、流行地集団 |
| 主なデータ | 気象、死亡・疾病、人口、政策 | 全ゲノム、RNA、表現型、実験結果 | 分子・免疫、臨床、疫学、フィールド |
| 方法の核 | 環境疫学、時系列・将来予測 | バイオインフォマティクス、機能検証 | ウイルス学、免疫学、疫学、診断開発 |
| 先に確認する条件 | 個票・計算資源の利用 | 試料・シーケンス・倫理 | 病原体施設・試料・海外共同研究 |
| 2026年度前年授業 | 国際保健政策学特論Ⅰ・Ⅱ | 人類遺伝学特論Ⅰ・Ⅱ | 発達医科学特論Ⅰ・Ⅱ |
この表は教員を順位付けするものではありません。自分の研究質問に必要な観察単位、データ、分析・実験法、承認を2年間でそろえられるかを見るものです。例えば「感染症と遺伝」に関心があっても、集団の遺伝変異を解析するのか、ウイルス複製と宿主応答を実験するのかで指導候補は変わります。
この章で確認した一次資料
公開本文の作成にあたり、以下の資料を確認しました。入試条件は変更されるため、出願時は必ず大学の最新情報と照合してください。
- 2026年度 医学系便覧・シラバス・開講科目表
東京大学|資料:2026年度|確認:2026-08-24|参照箇所:20~23頁、28頁、45~47頁
- 令和9(2027)年度 国際保健学専攻 修士課程 入学試験案内
東京大学|資料:2026-05-07|確認:2026-08-24|参照箇所:2~4頁
- Masahiro Hashizume
Department of Global Health Policy|資料:2026-08-24時点|確認:2026-08-24|参照箇所:Research interests、Recent publications
- Non-optimal temperature-attributable mortality and morbidity burden by cause, age and sex under climate and population change scenarios
National Library of Medicine|資料:2024|確認:2026-08-24|参照箇所:Lancet Regional Health – Western Pacific 53:101214
- 藤本明洋 教授
東京大学医学部健康総合科学科|資料:2026-08-24時点|確認:2026-08-24|参照箇所:担当科目、研究テーマ
- Akihiro Fujimoto
researchmap|資料:2026-08-24時点|確認:2026-08-24|参照箇所:所属、研究分野、論文
- Long-read sequencing reveals novel isoform-specific eQTLs and regulatory mechanisms of isoform expression in human B cells
National Library of Medicine|資料:2025-05-08|確認:2026-08-24|参照箇所:Genome Biology 26:110, DOI 10.1186/s13059-025-03583-w
- Moi Meng Ling 教授
東京大学医学部健康総合科学科|資料:2026-08-24時点|確認:2026-08-24|参照箇所:担当科目、研究分野、現在の研究課題
- Department of Developmental Medical Sciences
東京大学大学院医学系研究科発達医科学|資料:2026-08-24時点|確認:2026-08-24|参照箇所:Research、Facilities、Location
- A chimeric RNA consisting of siRNA and aptamer for inhibiting dengue virus replication
東京大学大学院医学系研究科|資料:2024-12-25|確認:2026-08-24|参照箇所:東京大学プレスリリース、論文情報・研究概要
- International Pandemic Preparedness Research for Flaviviruses
The University of Tokyo|資料:2026-01-13|確認:2026-08-24|参照箇所:iPREP-Flavivirus launch and research framework