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第5章 本書独自問題で選択科目の考え方を練習する

東京大学 大学院薬学系研究科 薬科学専攻(修士課程)の院試対策講座から、大学公表の過去問ではない実験読解問題に、答案例と失点例を付けます。

対象年度
2027年度
公式情報確認
2026年8月24日
公開本文
1,578
参照資料
3
01

独自問題:DNA複製と中心体複製

数値から言えることと言えないことを分ける練習です。

本書の提案

本書の提案:独自問題と問題文の読み方

大学が指定する答案や準備手順ではなく、公開資料に基づく本書の提案です。

以下は大学が公表した過去問ではなく、本書が分子細胞生物学と実験設計を練習するために作った独自問題です。2027年度に同じ問題が出るという予測でもありません。

独自問題:ヒト培養細胞でDONSONをsiRNAにより減少させ、対照群、DONSON減少群、DONSON減少+Cdc6強制局在群を比較した。S期細胞100個を観察したところ、中心体が3個以上の細胞はそれぞれ4%、38%、14%だった。多極紡錘体を持つ分裂期細胞は3%、31%、12%だった。各条件は独立3回実施した。この結果から支持される解釈、まだ言えないこと、因果関係を強める追加実験を800字程度で述べなさい。

読むときは、操作した因子、救済操作、S期と分裂期の二つの時点、中心体数と紡錘体という二つの結果を分けます。割合だけで、母集団のばらつき、siRNAの標的外作用、Cdc6強制局在の発現量は分かりません。

本書の提案

本書の提案:答案の組み立て

大学が指定する答案や準備手順ではなく、公開資料に基づく本書の提案です。

①観察結果、②結果と整合する機序、③断定できない点、④追加実験、⑤創薬研究としての意味、の五段落にします。第一段落は38%から14%、31%から12%という救済幅を数値で示します。第二段落はCdc6局在がDONSON減少表現型の一部を抑える可能性と書きます。第三段落で完全回復でないこと、統計的不確実性、標的外作用を示します。第四段落は別配列siRNA、DONSON再導入、Cdc6局在変異体、時系列ライブイメージング、盲検計数を提案します。

本書の提案

本書の提案:具体的な解答例

大学が指定する答案や準備手順ではなく、公開資料に基づく本書の提案です。

DONSON減少群では、中心体3個以上のS期細胞が対照4%から38%へ、多極紡錘体を持つ分裂期細胞が3%から31%へ増えた。Cdc6を中心体へ強制局在させると、それぞれ14%、12%まで低下した。したがって、DONSON減少に伴う中心体数異常と分裂異常の一部は、Cdc6の中心体局在低下を介するという解釈と整合する。しかし、値は対照まで戻らず、Cdc6だけが経路全体を担うとは言えない。独立3回という記述だけでは、各実験の変動、統計手法、観察者の群情報、siRNAの特異性も分からない。

追加実験では、異なる配列のsiRNAでも再現し、siRNA耐性DONSONの再導入で中心体数と紡錘体を救済する。Cdc6については、中心体へ局在できる型、局在できない型、DNA複製機能を変えた型を同程度発現させて比較する。S期開始から分裂まで同じ細胞をライブ観察し、中心小体の解離、中心体化、多極紡錘体、染色体誤分配の順序を追う。群を隠して画像を数え、実験ごとの割合と信頼区間を示す。これにより、DONSON-Cdc6経路が中心体複製の時期を制御し、染色体安定性へ影響する因果のどこまでを説明できるかを検証できる。

本書による説明

本書による説明:用語を短く定義する

複数の一次資料を受験生が比較しやすい形に言い換えた本書による説明です。

中心体は、動物細胞で微小管を組織し、分裂期の紡錘体形成に関わる構造です。S期はDNAを複製する細胞周期の時期です。siRNAは標的mRNAを減らして遺伝子機能を調べる方法ですが、別の遺伝子へ作用する標的外効果があり得ます。救済実験は、失わせた機能を別の操作で戻し、表現型が回復するかを見る実験です。多極紡錘体は、通常の二極ではなく三つ以上の極を持つ分裂装置で、染色体誤分配につながり得ます。

本書の提案

本書の提案:失点しやすい書き方

大学が指定する答案や準備手順ではなく、公開資料に基づく本書の提案です。

第一は「Cdc6が原因だと証明された」と書くことです。部分的な救済で、他経路を除けません。第二は38%と14%の差だけを書き、対照4%へ戻っていない点を無視することです。第三は独立3回を細胞300個と同じ意味で扱うことです。独立実験間の変動を示す必要があります。第四は追加実験を「サンプルを増やす」だけで終えることです。別siRNA、再導入、局在変異体、時系列のどれが代替説明を除くかを書きます。第五は中心体数の異常と多極紡錘体の同時発生を、そのまま時間順の因果とみなすことです。同一細胞の追跡が必要です。

REFERENCES

この章で確認した一次資料

公開本文の作成にあたり、以下の資料を確認しました。入試条件は変更されるため、出願時は必ず大学の最新情報と照合してください。