第3章 三名の指導候補を研究・授業・施設で比べる
東京大学 大学院工学系研究科 応用化学専攻 修士課程の院試対策講座から、生命分子、窒素固定、高分子ナノ空間の三方向から、修士研究の方法を読みます。
- 対象年度
- 2027年度
- 公式情報確認
- 2026年8月26日
- 公開本文
- 2,214字
- 参照資料
- 11件
野地博行教授:一分子計測と人工細胞
分子機械を一個ずつ観察し、微小反応器へ応用する研究です。
大学公式の事実:野地博行教授の専門・授業・近年研究
大学が公表した募集要項、規則、教育資料、教員資料または入試問題に書かれた範囲です。
野地博行教授は、一分子生物物理、分子機械、微小デバイスを用いる高感度分析、人工細胞を研究します。2027年度入試案内の研究室一覧に指導教員として掲載され、修士課程を受け入れます。2026年度公開の「環境・エネルギー工学基礎Ⅰ」シラバスには、昨年度(2025年度)の講義内容の例として、野地教授による「生体分子の1分子計測から人工細胞リアクタ工学」が掲載されています。これは2026年度各回の担当確定表ではありません。専攻の大学院教育には単一分子生物物理や分子生物学の科目があります。
2025年にはATP合成酵素を改変し、回転する分子機械の運動と触媒反応の関係を調べた研究がNature Communicationsに掲載されました。蛍光観察や微小な反応容器を用い、多数分子の平均では見えない一個ごとの動きを測る研究です。
大学が公表していない情報:顕微鏡・微小デバイスの利用条件
2026年8月26日時点で該当する公開一次資料に記載がないため、数値や条件を推測で補っていません。
研究室が光学顕微鏡や微小デバイスを使うこと、工学部3号館に研究室があることは公表されています。しかし、修士学生が使える顕微鏡の種類、予約時間、デバイス製作設備の講習、試料ごとの費用、入学直後に担当できる実験は公開されていません。希望者は、自分の卒業研究で行った測定と、入学後に習得する必要がある試料調製・画像解析を分けて相談します。
西林仁昭教授:有機金属触媒と窒素固定
温和な条件で窒素分子を反応させる触媒設計を見ます。
大学公式の事実:西林仁昭教授の専門・授業・近年研究
大学が公表した募集要項、規則、教育資料、教員資料または入試問題に書かれた範囲です。
西林仁昭教授は、有機金属化学、錯体化学、触媒化学を専門とし、窒素分子からアンモニアなどの含窒素化合物を作る反応を研究します。2027年度入試案内の研究室一覧に指導教員として掲載され、修士課程を受け入れます。2026年度の「環境・エネルギー工学基礎Ⅰ」シラバスは担当教員欄に西林教授を掲載しています。同じシラバスの各回予定は昨年度(2025年度)の講義内容の例であり、その第1回に「『窒素循環社会』を実現するアンモニア合成法の開発」が掲載されています。専攻の大学院教育には有機金属化学、触媒化学、機能性錯体化学に関係する科目があります。
2025年には、モリブデン-オキソ錯体を触媒として窒素固定反応を進める研究成果が公表されました。金属中心、配位子、電子とプロトンの供給方法を設計し、反応回数と生成物を測る研究です。
大学が公表していない情報:触媒合成設備と試料取扱い
2026年8月26日時点で該当する公開一次資料に記載がないため、数値や条件を推測で補っていません。
研究室が錯体合成、触媒反応、生成物分析を行うことは分かりますが、グローブボックス、分光装置、ガスクロマトグラフ等の台数、学生ごとの利用時間、空気や水に不安定な試料を扱うための訓練期間、研究テーマごとの試薬費は公開されていません。卒業研究で錯体合成をしていない場合は、無機化学の知識だけでなく、不活性雰囲気操作と分析法をどの順番で学ぶかを相談します。
植村卓史教授:高分子と金属有機構造体のナノ空間
細孔の大きさと形を使い、高分子の合成と配列を制御します。
大学公式の事実:植村卓史教授の専門・授業・近年研究
大学が公表した募集要項、規則、教育資料、教員資料または入試問題に書かれた範囲です。
植村卓史教授は、高分子化学と金属有機構造体を専門とし、ナノメートルの細孔内で高分子を合成し、分子鎖の配列や物性を制御する研究を行います。2027年度入試案内の研究室一覧に指導教員として掲載され、修士課程を受け入れます。2026年度公開の「環境・エネルギー工学基礎Ⅰ」シラバスには、昨年度(2025年度)の講義例として「ナノサイズの空間を化学する」がありますが、担当者名は「植村卓也」と記載され、入試案内の「植村卓史」と一致しません。本書はこの記載だけで植村卓史教授の2026年度担当回とは断定しません。専攻の大学院教育には高分子化学、機能性無機材料、機能性錯体に関する科目があります。
2026年には、金属有機構造体の細孔を反応場に用い、束状の共重合体を形成する研究がNature Communicationsに掲載されました。単に新しい樹脂を作るのではなく、細孔という空間の制約を使って分子鎖の並び方を制御する研究です。
大学が公表していない情報:細孔材料の合成・分析設備
2026年8月26日時点で該当する公開一次資料に記載がないため、数値や条件を推測で補っていません。
金属有機構造体と高分子の合成、構造・物性評価を行うことは公表されていますが、回折、分光、熱分析、顕微鏡等の装置を学生が使う条件、学外施設で測定する頻度、試料の調製量、テーマ決定の時期は公開されていません。希望者は、合成そのものを主題にするのか、細孔内で生じる反応機構を調べるのか、得られた材料の物性を評価するのかを分けて話します。
十四研究室を三名だけで終わらせない選び方
現象、操作、測定、進路の四列で希望順位を作ります。
本書による説明:十四研究室を研究方法で分け直す
複数の一次資料を比べ、受験生が制度と研究内容を一緒に読める形へ本書が整理した説明です。
十四研究室は、所属先だけでなく研究方法で見直せます。分子機械や一分子計測、触媒反応、金属錯体、高分子・細孔材料、光電気化学、表面分光、固体触媒、無機材料、有機半導体、スピン熱変換など、合成中心、計測中心、デバイス中心の研究が並びます。同じエネルギー課題でも、分子触媒を作る研究、電極界面を測る研究、熱やスピンを電気へ変える研究では、毎日の作業と必要な基礎が異なります。
研究室案内から、対象物質、主要な操作、得られるデータ、研究場所を一行ずつ抜き出します。例えば「タンパク質・蛍光観察・時系列像・本郷」「錯体・不活性雰囲気合成・分光と生成量・本郷」のように書くと、研究題目の華やかさだけで選ばずに済みます。
本書の提案:希望順位の理由を四つの問いで書く
大学が指定した答案や唯一の準備法ではなく、公開された一次資料に基づく本書の提案です。
各研究室について、①何の現象を明らかにしたいか、②自分はどの操作を身に付けたいか、③どのデータを根拠に結論を出したいか、④修了後にその技能をどこで使うか、へ一文ずつ答えます。四問の答えがほぼ同じ研究室は、第二希望以降にも一貫した理由があります。答えが研究室名だけ変わる場合は、一次資料をまだ十分に読めていません。
教員へ連絡する制度に該当する場合は、希望だけでなく、自分の卒業研究の題目、使える装置、扱ったデータ、未経験の方法を短く示します。設備があるかという質問だけで終えず、修士二年間で自分が担当できる研究単位、テーマ決定の時期、博士進学希望との関係を尋ねます。
この章で確認した一次資料
公開本文の作成にあたり、以下の資料を確認しました。入試条件は変更されるため、出願時は必ず大学の最新情報と照合してください。
- 令和9(2027)年度 応用化学専攻 修士課程入学試験案内
東京大学|資料:2026-04-03|確認:2026-08-26|参照箇所:3~14頁、20~22頁
- 応用化学専攻 大学院教育
東京大学大学院工学系研究科応用化学専攻|資料:2026-08-26時点|確認:2026-08-26|参照箇所:講義科目、特別実験・演習
- 応用化学科・専攻 2026案内
東京大学工学部応用化学科・大学院工学系研究科応用化学専攻|資料:2026-04|確認:2026-08-26|参照箇所:研究室紹介、教員、施設配置
- 応用化学専攻 入試情報
東京大学大学院工学系研究科応用化学専攻|資料:2026-08-26時点|確認:2026-08-26|参照箇所:2027年度案内、過去問、問合せ先
- 2026年度 環境・エネルギー工学基礎Ⅰ
東京大学授業カタログ|資料:2026年度(2026-04-20最終更新)|確認:2026-08-26|参照箇所:担当教員欄と、参考として掲載された昨年度(2025年度)の各回講義内容
- 野地研究室
東京大学大学院工学系研究科応用化学専攻|資料:2026-08-26時点|確認:2026-08-26|参照箇所:教員、研究テーマ、研究室所在地
- ATP合成酵素を改変し、分子機械の回転と触媒の関係を解明
東京大学大学院工学系研究科応用化学専攻|資料:2025-07-05|確認:2026-08-26|参照箇所:Nature Communications掲載研究の概要
- 西林研究室
東京大学大学院工学系研究科応用化学専攻|資料:2026-08-26時点|確認:2026-08-26|参照箇所:教員、研究テーマ、研究室所在地
- モリブデン-オキソ錯体を用いた触媒的窒素固定
東京大学大学院工学系研究科応用化学専攻|資料:2025-12-24|確認:2026-08-26|参照箇所:研究成果、論文情報
- 植村研究室
東京大学大学院工学系研究科応用化学専攻|資料:2026-08-26時点|確認:2026-08-26|参照箇所:教員、研究テーマ、研究室所在地
- 金属有機構造体の細孔で束状共重合体を合成
東京大学大学院工学系研究科応用化学専攻|資料:2026-06-11|確認:2026-08-26|参照箇所:Nature Communications掲載研究の概要