第4章 公式問題6題を分野横断で読む
東京大学 大学院工学系研究科 電気系工学専攻 修士課程・博士後期課程の院試対策講座から、2025年度実施の日本語・英語問題を全ページ確認し、問われた概念を具体化します。
- 対象年度
- 2027年度
- 公式情報確認
- 2026年8月28日
- 公開本文
- 1,852字
- 参照資料
- 3件
公式問題の位置づけと限界
形式例、出題範囲、言語、非公表事項を区別します。
大学公式の事実:2025年度実施問題は6分野各1大問
専攻の試験科目ページと問題PDF全25ページの構成です。
公式PDFは、日本語版で電磁気学、電気回路、情報工学I、情報工学II、固体物性、制御・電気エネルギー工学の6大問を掲載し、後半に英語版を収録しています。2027年度入試では、この六分野から2問を150分で選択解答します。
大学公式の事実:問題は形式例で、難易度・範囲の保証ではない
試験科目ページの二つの注意書きです。
専攻公式ページは、キーワードが重要概念を表す一方で出題範囲を限定しないこと、サンプル問題が問題形式を示すだけで難易度や出題範囲を示さないことを明記しています。過去に出なかった項目を学習対象から外す根拠にはできません。
本書による説明:6題は二つの小問群で基礎から応用へ進む
6大問の構造を共通の解答過程として整理しました。
各大問は、定義や基本式だけでなく、境界条件、回路の時間変化、情報量、状態遷移、量子井戸、MOS、安定性、電気機械変換などを段階的に問います。数式を暗記するより、図から対象を読み、仮定を置き、保存則や支配方程式を選び、単位と極限で結果を点検する力が必要です。
大学が公表していない情報:公式解答、採点基準、問題別の出題意図
公式問題の公開内容と、掲載されていない解答・基準・意図を分けています。
試験科目ページと2025年度実施問題PDFには、公式模範解答、配点を含む採点基準、各小問で何を評価するかという問題別の出題意図が掲載されていません。本章の解法例は独自解答であり、大学の正解例や採点保証ではありません。
第1問 電磁気学
導体板の静電場と、ソレノイド・導体のエネルギー流を扱います。
大学公式の事実:平行導体板と円筒系の電磁場
2025年度実施公式問題の第1問の設問内容です。
第1問Iは、平行導体板を接続・切断し、抵抗や別の導体板を挿入したときの電場、電位、静電エネルギー、力を問います。IIは、無限長ソレノイドと厚い円筒導体について、磁場、ベクトルポテンシャル、ポインティングベクトル、エネルギー移送を扱います。
本書による説明:境界条件とエネルギーの二つの見方
第1問を解く際の共通概念を整理した説明です。
静電場では、固定される量が電荷か電圧かでエネルギーと力の式が変わります。磁場ではアンペールの法則だけでなく、電磁エネルギーがどこから導体へ流れ込むかをポインティングベクトルで説明します。式を立てる前に、接続状態と積分経路を図へ書くのが要点です。
第2問 電気回路
RLC過渡応答とMOS増幅回路を扱います。
大学公式の事実:スイッチング回路とMOS小信号回路
2025年度実施公式問題の第2問の設問内容です。
第2問IはRLC回路のスイッチ切替え、定常状態、パルス入力、過渡応答、エネルギーを問います。IIはNチャネルMOSトランジスタの小信号等価回路、寄生容量、利得、周波数応答、入力抵抗を扱います。
本書による説明:時間領域と周波数領域を往復する
二つの小問に共通する回路解析手順です。
RLCではインダクタ電流とコンデンサ電圧の連続性を使い、初期値から微分方程式を解きます。MOS回路では直流動作点の周りだけを小信号化し、寄生容量を含めた伝達関数から低周波利得と極を読みます。直流等価回路と交流小信号回路を混ぜないことが重要です。
第3問 情報工学I
エントロピー・符号化・マルコフ源と、LTI信号処理を扱います。
大学公式の事実:情報源符号化と連続時間信号
2025年度実施公式問題の第3問の設問内容です。
第3問Iは、4状態の無記憶情報源のエントロピー、最短符号の例と平均符号長、マルコフ情報源の状態遷移図・定常確率・エントロピーを問います。IIは単位ステップ信号、線形時不変系、畳み込み、フーリエ変換を用いて連続時間信号を扱います。
本書による説明:確率モデルと線形システムの二本柱
第3問の二領域を基礎概念で説明しています。
情報源では、確率から一記号あたりの平均情報量を計算し、接頭語符号の平均長と比べます。信号処理では、入力とインパルス応答の畳み込みが出力になり、周波数領域では積になります。確率と信号は別分野に見えますが、どちらもモデルを式へ変換する力を問います。
第4問 情報工学II
順序回路とC言語の木構造を扱います。
大学公式の事実:カウンタ・検出回路と文字列木
2025年度実施公式問題の第4問の設問内容です。
第4問Iはブール論理、Dフリップフロップ、4進カウンタ、特定パターン検出、状態遷移を問います。IIはC言語で二進文字列を格納する木・トライ構造を扱い、挿入と存在判定の空欄、計算量、辞書順整列を問います。
本書による説明:状態を明示してから回路・プログラムへ落とす
第4問の回路設計とデータ構造に共通する考え方です。
順序回路では現在状態、入力、次状態、出力を表にします。文字列木では各ノードがどの接頭辞を表すか、ポインタが0側か1側か、終端をどう表すかを決めます。いきなり論理式やコードを書くより、状態・不変条件・終了条件を日本語で置くと空欄を埋めやすくなります。
第5問 固体物性
有限井戸とMOS構造を量子・統計から説明します。
大学公式の事実:有限井戸とp型MOS
2025年度実施公式問題の第5問の設問内容です。
第5問Iは一次元有限ポテンシャル井戸のシュレディンガー方程式、境界条件、固有エネルギー、フェルミ・ディラック分布、運動量測定を扱います。IIはフラットバンド条件のp型Si MOS構造について、キャリア、フェルミ準位、蓄積・空乏・反転、空乏近似、容量、温度依存性を問います。
本書による説明:波動関数とバンド図を境界でつなぐ
量子井戸とMOSを境界条件という共通語で説明しています。
有限井戸では領域ごとの波動関数を解き、波動関数と微分の連続条件から許されるエネルギーを決めます。MOSでは電極、酸化膜、半導体の電位差をバンド図へ変換し、表面キャリアの変化を容量へつなぎます。符号規約と基準エネルギーを最初に決めることが重要です。
第6問 制御・電気エネルギー工学
フィードバック安定性と直流機を扱います。
大学公式の事実:フィードバック系と他励直流機
2025年度実施公式問題の第6問の設問内容です。
第6問Iはプラントと制御器の伝達関数、ボード線図、安定性、ステップ応答、外乱応答を比例ゲインとの関係で問います。IIは他励直流機の電動機・発電機動作、逆起電力、トルク、効率、電気駆動の利点を扱います。
本書による説明:エネルギー変換を式と向きで管理する
第6問を安定性とエネルギー収支から説明しています。
制御ではループ伝達関数から安定余裕を読み、目標値応答と外乱応答を別々に求めます。直流機では、電流、逆起電力、トルク、回転方向の符号を図に置き、入力電力、機械出力、損失の収支を確認します。ゲインを大きくすれば常に良い、という説明はできません。
この章で確認した一次資料
公開本文の作成にあたり、以下の資料を確認しました。入試条件は変更されるため、出願時は必ず大学の最新情報と照合してください。
- 2027年度大学院入学試験 電気系工学専攻 入試案内書
東京大学大学院工学系研究科 電気系工学専攻|資料:2026年度公開|確認:2026-08-28|参照箇所:PDF p.3~12。修士、博士A・B、口述、提出書類、TOEFL
- 電気系工学専攻 試験科目に関する情報
東京大学大学院工学系研究科 電気系工学専攻|資料:2026-08-28時点|確認:2026-08-28|参照箇所:6分野、キーワード、サンプル問題の注意書きと公式導線
- 2025年度実施 電気系工学専攻 サンプル問題(日本語・英語)
東京大学大学院工学系研究科 電気系工学専攻|資料:2025年度実施入試より|確認:2026-08-28|参照箇所:PDF p.1~25。6分野各1大問、日本語版・英語版