第4章 指導候補を課程・授業・研究・施設で比べる
東京大学 大学院医学系研究科 修士課程・専門職学位課程・博士後期課程・医学博士課程の選択の院試対策講座から、四つの異なる研究方向を例に、氏名だけでなく、受入課程、授業、近年研究、利用条件まで読みます。
- 対象年度
- 2027年度
- 公式情報確認
- 2026年8月26日
- 公開本文
- 2,221字
- 参照資料
- 15件
池田真理教授:看護組織・家族・質的研究
健康科学・看護学修士の候補を、募集分野と研究方法から見ます。
大学公式の事実:池田真理教授
大学が公表した募集要項、規則、授業資料または教員資料に書かれた範囲です。
池田真理教授は、2027年度健康科学・看護学専攻修士の看護管理学、看護体系・機能学、家族看護学で受入予定です。看護組織や職場、医療・看護提供体制、家族形成期のメンタルヘルス、家族QOL等を扱い、量的研究、質的研究、観察・面接法を組み合わせます。2026年度の前年科目では看護体系・機能学特論、看護管理学特論、家族看護学特論を担当します。2024年には写真を用いる経験と振り返り聴取を組み合わせたPEARLの質的研究への適用を論じました。ここで公式に確認できる受入課程は健康科学・看護学専攻修士です。
大学が公表していない情報:看護データの利用条件
2026年8月26日時点で該当する公開一次資料に記載がないため、数値や内容を推測で補っていません。
公式資料から研究分野、研究方法、担当授業は分かりますが、個々の修士学生が使える病院データ、家族・看護職の募集経路、面接室、2027年度の受入人数、倫理審査の所要期間は公表されていません。リアルワールドデータを扱う研究テーマが教員ページにあっても、入学すれば同じデータを使えるとは限りません。対象者の確保とデータ利用許可は、研究計画の実行可能性として別に確認する事項です。
橋爪真弘教授:気候変動と国際保健政策
国際保健学修士の候補を、環境疫学と英語課程から見ます。
大学公式の事実:橋爪真弘教授
大学が公表した募集要項、規則、授業資料または教員資料に書かれた範囲です。
橋爪真弘教授は、2027年度国際保健学専攻修士の国際保健政策学で受入予定です。専門は気候変動、環境疫学、プラネタリーヘルスで、2026年度の前年科目では国際保健政策学特論Ⅰ・Ⅱを担当します。2024年の共著研究は、日本の気温に起因する死亡・疾病負担を、気候と人口の将来シナリオ、死因、年齢、性別ごとに数量化しました。国際保健学の講義と学位研究は英語で行われ、ここで確認できる受入課程は同専攻修士です。
大学が公表していない情報:個票と計算資源の利用
2026年8月26日時点で該当する公開一次資料に記載がないため、数値や内容を推測で補っていません。
研究室のテーマから気象、死亡・疾病、人口、政策データを扱うことは分かります。しかし、修士学生が利用できる個票データ、国内外の共同研究データ、計算環境、ソフトウェア、渡航費、2027年度の具体的な研究補助体制は公表されていません。公開集計値だけで完結する研究と、申請が必要な個票を使う研究では、開始までの時間が大きく異なります。
水島昇教授:オートファジーの基礎医学
医科学修士の候補を、実験手法と博士側の所属まで見ます。
大学公式の事実:水島昇教授
大学が公表した募集要項、規則、授業資料または教員資料に書かれた範囲です。
水島昇教授は、2027年度医科学専攻修士の分子生物学分野で受入予定です。細胞生物学、オートファジーの分子機構と生理機能、リソソーム、タンパク質分解を研究し、2026年度の前年シラバスでは「分子生物学各論(細胞内分解機構)」の担当責任教員です。2026年のScience論文では、オートファジーを可逆的に抑制できるマウスを使い、神経の異常と再活性化後の回復を調べました。研究室は教育研究棟5階北側で、博士側は分子細胞生物学専攻です。
大学が公表していない情報:装置・動物・テーマの割当て
2026年8月26日時点で該当する公開一次資料に記載がないため、数値や内容を推測で補っていません。
研究室は蛍光・電子顕微鏡、マウス、ゼブラフィッシュ、酵母、数理モデル等の方法を紹介しています。一方、修士学生がどの装置を単独使用できるか、動物実験の担当範囲、既存系統や試料の割当て、安全講習、個別テーマ、2027年度の受入人数は公開されていません。研究室に設備があることと、希望テーマで直ちに利用できることは別です。
康永秀生教授:臨床疫学・医療経済
SPHと社会医学博士の関係を、授業と研究方法から見ます。
大学公式の事実:康永秀生教授
大学が公表した募集要項、規則、授業資料または教員資料に書かれた範囲です。
康永秀生教授は、2026年3月1日現在、公共健康医学専攻の臨床疫学・経済学分野の教授で専攻長です。2026年度の前年シラバスでは、臨床疫学、臨床疫学・経済学演習、保健医療経済学、医療技術評価学演習、臨床医学概論を担当します。2025年の論文では、観察研究で群間差を調整する傾向スコア分析を再検討しています。SPHでは専門職学位課程の授業と課題研究を担当する分野であり、博士側では医学博士課程・社会医学専攻の臨床疫学・経済学につながります。
大学が公表していない情報:DPC等の研究データ利用
2026年8月26日時点で該当する公開一次資料に記載がないため、数値や内容を推測で補っていません。
臨床疫学・経済学分野が大規模診療データを扱う研究を行うこと、SPHに課題研究があることは確認できます。しかし、個々の学生が利用できるDPCデータの年度・変数、利用料、解析端末、統計ソフト、倫理審査、共同研究者、指導可能人数は募集要項にありません。保険者や病院の実務データを持ち込む場合も、勤務先の許可と大学側の研究倫理手続を分けて考える必要があります。
四候補を研究質問で比べる
知名度ではなく、対象、データ、方法、課程、修了成果を合わせます。
本書の提案:六つの列で候補を比較する
大学が指定する選択方法や答案ではなく、一次資料に基づく本書の提案です。
| 候補 | 主な対象 | データ・材料 | 方法 | 入口課程 | 修了成果 |
|---|---|---|---|---|---|
| 池田教授 | 看護組織、看護職、家族 | 面接、質問紙、医療・看護データ | 量的・質的研究 | 健康科学・看護学修士 | 修士論文 |
| 橋爪教授 | 集団、気候・環境曝露 | 気象、死亡・疾病、人口 | 環境疫学、モデル | 国際保健学修士 | 英語課程の修士論文 |
| 水島教授 | 細胞、組織、モデル生物 | 画像、分子、動物 | 細胞生物学、実験 | 医科学修士 | 修士論文 |
| 康永教授 | 患者集団、医療制度 | 診療・請求・政策データ | 臨床疫学、医療経済 | SPH専門職 | 課題研究は2年必修、1年選択 |
研究テーマの単語が似ているだけでは決められません。「高齢者の健康」でも、家族介護の経験を面接するのか、気温と死亡を解析するのか、細胞内分解を実験するのか、診療データで医療の質を評価するのかで、課程も指導候補も変わります。
本書による説明:研究指導は修了要件から逆算する
複数の一次資料を比較し、進路選択に使える形へ本書が整理した説明です。
修士では演習・実習と修士論文、SPH2年コースでは課題研究、博士後期・医学博士では演習・実習と博士論文が研究指導の中心です。志望教員の最近の論文を読むだけでなく、自分が修了時に提出する成果へ必要なデータ、方法、倫理審査、期間を逆算します。
1年SPHは30単位を1年で履修し、課題研究は選択です。長期のデータ収集を伴う独自研究を最優先するなら2年コースや研究修士が適する可能性があります。一方、実務経験を体系的な公衆衛生能力へ変えたい人には1年コースの制度目的が合います。これは合否の予測ではなく、公式の修業年限と修了要件から導く選択基準です。
この章で確認した一次資料
公開本文の作成にあたり、以下の資料を確認しました。入試条件は変更されるため、出願時は必ず大学の最新情報と照合してください。
- 令和9(2027)年度 健康科学・看護学専攻修士課程入学試験案内
東京大学|資料:2026-05-07|確認:2026-08-26|参照箇所:2~7頁
- 令和9(2027)年度 国際保健学専攻修士課程入学試験案内
東京大学|資料:2026-05-07|確認:2026-08-26|参照箇所:2~4頁
- 令和9(2027)年度 医科学専攻修士課程入学試験案内
東京大学|資料:2026-04-10現在|確認:2026-08-26|参照箇所:2~10頁
- 令和9(2027)年度 医学博士課程学生募集要項
東京大学|資料:2026-05-07|確認:2026-08-26|参照箇所:1~9頁
- 2026年度 医学系便覧・シラバス・開講科目表
東京大学|資料:2026年度|確認:2026-08-26|参照箇所:20~23頁
- 池田真理 教員紹介
UTOKYO NURSING|資料:2026-08-26時点|確認:2026-08-26|参照箇所:専門、研究方法、大学院指導
- The Promise of Photo-experiencing and Reflective Listening (PEARL) in Asian Qualitative Research
The Academy of Qualitative Research|資料:2024|確認:2026-08-26|参照箇所:Journal of Qualitative Research 25(2):75-81
- Masahiro Hashizume
Department of Global Health Policy|資料:2026-08-26時点|確認:2026-08-26|参照箇所:Research interests、Recent publications
- Non-optimal temperature-attributable mortality and morbidity burden under climate and population change scenarios
National Library of Medicine|資料:2024|確認:2026-08-26|参照箇所:Lancet Regional Health – Western Pacific 53:101214
- Noboru Mizushima
東京大学|資料:2026-08-26時点|確認:2026-08-26|参照箇所:Affiliation、specialty、research themes
- Mizushima Laboratory – About
Mizushima Laboratory, The University of Tokyo|資料:2026-08-26時点|確認:2026-08-26|参照箇所:研究手法、モデル生物、所在地
- Reversible suppression of autophagy in a mouse model reveals neuronal resilience
National Library of Medicine|資料:2026-06-25|確認:2026-08-26|参照箇所:Science 392(6805):1363-1368
- 公共健康医学専攻を構成する講座・分野・担当教員
東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻|資料:2026-03-01現在|確認:2026-08-26|参照箇所:臨床疫学・経済学ほかの担当教員
- 2026年度 公共健康医学専攻シラバス
東京大学|資料:2026年度|確認:2026-08-26|参照箇所:4~6頁、14~19頁、54頁
- Propensity score analysis revisited
National Library of Medicine|資料:2025|確認:2026-08-26|参照箇所:Annals of Clinical Epidemiology 7(3):99-104