第6章 研究を読み、独自反応速度演習で確かめる
京都大学 大学院 工学研究科 化学理工学専攻の院試対策講座から、現職教員の近年研究を研究対象・操作・評価へ分け、本書独自の一次反応問題を立式から検算します。
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- 院試クラウド編集部
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- 2027年度
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- 1,575字
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第6章 研究を読み、独自反応速度演習で確かめる
研究紹介と入試情報を混同せず、独自問題は大学公式問題・模範解答ではないと明示します。
本書による説明:田中教授らの論文は資源分離と材料化を一つの工程で扱う
査読論文とKDBを基に研究の狙いと用語を平易に要約し、入試との境界を示しました。
ITOは、透明導電膜などに使われるインジウムを含む材料です。田中一生教授らの2026年論文は、ITO中のインジウム成分を選択的に錯体へ変換し、分離と機能材料化につなげる方法を検討しています。錯体は、金属などの中心へ分子やイオンが結び付いた構造です。配位子は、その中心に結び付く分子やイオンを指します。この研究は、酸による塩素化と配位子による錯形成を、粉砕・混合などの機械的作用を利用する工程内で組み合わせています。論文研究の要約であり、入試問題や配属条件ではありません。
本書の提案:論文を対象・操作・評価・限界の四列で読む
研究成果と志願者の提案を混同しない読解方法です。
四つの列に分けます。対象はITO中のインジウムです。操作は塩素化、配位子錯形成、機械化学処理です。機械化学処理とは、粉砕・混合などの機械的作用を利用する処理を指します。評価欄には、反応や錯形成がどこまで進んだかを書きます。限界欄には、条件依存性や実装時の分離工程を書きます。著者が測った結果と、自分が将来試したい条件を同じ欄に書きません。以上が本書の論文読解法です。
本書の提案:独自問題の条件を単位ごと読み取る
大学公表問題ではないことと、本書独自の仮定・数値・単位を明示しました。
次は京都大学が公表した過去問ではなく、本書が反応速度の基礎確認用に作った独自問題です。物質Aは、一定温度・一定体積の下で、ほかの反応を起こさず、一次反応だけで減少すると仮定します。一次反応とは、減少速度が濃度に比例する反応です。条件は、k = 0.035 min⁻¹、C₀ = 0.80 mol/L、t = 40 minです。40分後の濃度C、転化率X、半減期t₁/₂を求めます。
本書の提案:一次反応式を積分形へ直してから代入する
本書独自問題の微分式、記号、積分形、求める量の関係を説明しました。
一次反応の微分式は、−dC/dt = kCです。初期条件「t = 0でC = C₀」を使って積分すると、ln(C/C₀) = −ktとなります。したがって、C = C₀e^(−kt)です。ここで、lnは自然対数、eは自然対数の底を表します。転化率は、初めの物質Aのうち反応した割合です。そのため、X = (C₀ − C)/C₀ = 1 − e^(−kt)となります。半減期はC/C₀ = 1/2を代入し、t₁/₂ = ln 2/kと求めます。以上が本書独自問題の立式案です。
本書の提案:独自解答ではC ≈ 0.197 mol/L、X ≈ 75.3%、半減期 ≈ 19.8 minになる
本書独自問題の数値と単位を独立に再計算しました。
まず、kt = 0.035 × 40 = 1.4です。したがって、C = 0.80e^(−1.4) = 0.197277… mol/L ≈ 0.197 mol/Lです。次に、X = 1 − e^(−1.4) = 0.753403… ≈ 75.3%です。半減期は、t₁/₂ = ln 2/0.035 = 19.804… min ≈ 19.8 minです。本書側で再計算した独自解答で、京都大学の模範解答ではありません。
本書による説明:速度定数の単位が式の整合性を支える
公式の化学分野を背景に、本書が用語、単位、仮定を説明しました。
一次反応のkは時間の逆数を単位に持ちます。今回はmin⁻¹ と minを掛けるので、ktは無次元となり、指数関数へ入れられます。転化率Xも割合なので無次元です。濃度Cだけがmol/Lを保ちます。温度が変われば一般にkも変わるため、この計算では一定温度という仮定が必要です。
本書の提案:指数の符号、時間単位、転化率と残存率を点検する
本書独自問題の誤答防止で、大学の採点基準ではありません。
誤りやすいのはe^(−kt)の負号を落とす、秒と分を混ぜる、残存率C/C₀を転化率と呼ぶことです。計算後に0 < C < C₀、0 < X < 1を確認します。また、40分はおよそ半減期2回分なので、濃度は初期値の約1/4になるはずです。半減期が初濃度に依存しないことも一次反応式から確かめます。以上が本書の検算法です。
本書による説明:研究例も独自演習も合否や配属を予測しない
研究・演習・入試・配属の役割を分けました。
近年論文は研究室の現在の関心を知る一例、独自演習は基礎計算を点検する一例です。論文題目から将来の入試出題や指導テーマは予測できず、独自演習を解いても合格を予測できません。志望時には最新の教員所属、年度別募集研究分野、公式試験範囲をそれぞれ確認します。
購入と完成版PDFの受け取り
公開プレビューと購入後の納品方法を説明しています。
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この章で確認した一次資料
公開本文の作成にあたり、以下の資料を確認しました。入試条件は変更されるため、出願時は必ず大学の最新情報と照合してください。
- 2027年度 化学理工学専攻修士課程入学試験詳細
京都大学大学院工学研究科|資料:2027年度入学向け・2026年8月実施|確認:2026-09-04|参照箇所:1~11頁。3群、筆記・口頭試問、TOEIC、研究分野希望調査。
- 化学理工学専攻 教育の特色
京都大学大学院工学研究科化学理工学専攻|資料:2026年9月4日確認|確認:2026-09-04|参照箇所:1~2トラックの選択、研究領域、修士論文評価、単位区分。
- 2026年度 京都大学大学院工学研究科 学修要覧
京都大学大学院工学研究科|資料:2026年度版|確認:2026-09-04|参照箇所:PDF45~47頁。化学理工学専攻の現行修了要件、科目例、研究指導科目。
- 教育研究活動データベース 田中一生
京都大学|資料:2026年9月2日更新|確認:2026-09-04|参照箇所:教授、所属、専門、2026年度担当科目、近年業績を確認。志願者個人の装置利用条件は見つけられない。
- Mechanochemical One-Pot Transformation of Indium from ITO into Functional Materials
Chemistry – A European Journal|資料:2026年7月31日オンライン公開|確認:2026-09-04|参照箇所:酸による塩素化と配位子錯形成を組み合わせたITO中インジウムの変換研究。
- 2026年度 創成化学群 物理化学問題
京都大学大学院工学研究科|資料:2025年夏実施|確認:2026-09-04|参照箇所:改組前の物理化学問題冊子。問題本文・図は転載しない。
- 2026年度 化学工学群 抜粋問題
京都大学大学院工学研究科|資料:2025年夏実施|確認:2026-09-04|参照箇所:改組前の化学工学群問題。公開対象外部分を除く公式抜粋。