院試クラウド
出典付き・公開プレビュー

第4章 2026年度公式過去問10問を、一問ずつ正確に読む

東京大学 大学院工学系研究科 物理工学専攻 修士課程・博士後期課程の院試対策講座から、数学6問と専門物理4問について、公式問題文の要求、科目全体の公式出題意図、本書による問別推定を分離します。

対象年度
2027年度
公式情報確認
2026年8月28日
公開本文
3,770
参照資料
5
01

扱う年度と、公式出題意図の限界

試験の年度と実施日を混ぜず、大学が問別意図を公表していないことを先に確認します。

大学公式の事実

大学公式の事実:最新の完了済み試験は2026年度入学者選抜

2026年度の公式問題と当時の専攻入試案内で、年度、実施日、解答数を照合しました。

2026年8月28日時点では2027年度A日程の試験前です。この章では、最新の完了済み選抜である2026年度問題を扱います。数学は2025年8月25日13時00分~15時30分、専門物理は8月26日9時00分~13時00分に実施されました。数学は6問から3問、専門物理は4問すべてに解答する形式でした。

大学公式の事実

大学公式の事実:出題意図は科目全体だけ

大学公表の出題意図が科目全体に限られることと、問別資料が見つからないことを明示しています。

工学系研究科が数学について公表した意図は、現象を抽象化し、解を論理的に導き、工学的問題を定式化・解決する数学的能力を見る、という科目全体の説明です。物理工学専攻が専門物理について公表した意図も、力学、電磁気学、統計熱力学、量子力学の基礎と、光学・固体物理を含む応用を見る、という科目全体の説明です。

どちらの資料も、問題1、問題2という問別の意図、採点基準、配点、公式解答を載せていません。以下の「本書による推定」は大学発表ではありません。

02

数学 問題1:常微分方程式

定数係数、Euler型、Riccati型の三つを切り替える問題です。

大学公式の事実

公式問題文の要約:二つの線形方程式と一つの非線形方程式

2026年度公式数学問題1の要求を、式と解く順序を保って要約しました。問別意図は大学公表ではありません。

Iでは、定数係数の2階方程式 y''+6y'+8y−3e^(−x)=0 と、Euler型の方程式 x²y''−2y−4x³=0 の一般解を求めます。IIでは、x(2x³−1)y'+2x²+y−2xy²=0 について、2次多項式の特殊解の係数を決め、その特殊解を使って一般解を導きます。

大学の数学全体の出題意図は適用されますが、この問題だけの公式意図は公表されていません。

本書による推定

本書による推定:方程式の型を見抜き、既知の解で次数を下げる

大学は問題別の狙いを公表していません。根拠と別の可能性を併記した本書による推定です。

本書は、特性方程式、Euler型のべき関数、Riccati型で特殊解から線形方程式へ変換する三つの手順を、式の形から選べるかを見る問題だと推定します。別の読み方として、微分と係数比較を最後まで崩さない計算の正確さを重く見る問題とも考えられます。公式の問別意図・配点がないため、どちらが主眼かは断定しません。

03

数学 問題2:回転行列、置換行列、有限回で単位行列に戻る条件

固有値と行列の周期性を、2次元・5次元・7次元で扱います。

大学公式の事実

公式問題文の要約:行列A、B、C

2026年度公式数学問題2の各小問を要約しました。問別意図は大学公表ではありません。

Aは角度2π/n(nは3以上の整数)の2次元回転行列で、全固有値・正規化固有ベクトルと逆行列を求めます。Bは5次元の置換行列で、固有値、B²からB⁵までの行列、B²とB⁵の固有値を求めます。Cは回転と置換を組み合わせた7次元行列で、C^mが単位行列になる最小の正整数mを求めます。

大学公表の意図は数学科目全体のものであり、問題2だけの公式意図はありません。

本書による推定

本書による推定:複素固有値と周期の最小公倍数を結ぶ

大学は問題別の狙いを公表していません。根拠と別の可能性を併記した本書による推定です。

本書は、回転を複素固有値で表し、置換を巡回構造として読み、行列の周期を各部分の周期の最小公倍数へ結び付ける力を問うと推定します。別の可能性として、固有値を求めるだけでなく、実際に行列のべき乗を計算して構造を確認する力を重視した問題とも読めます。

04

数学 問題3:複素関数、写像、Laurent展開、調和共役

複素数の方程式から留数・実部からの再構成までを一問で扱います。

大学公式の事実

公式問題文の要約:四つの複素解析

2026年度公式数学問題3の要求を要約しました。大学公表の意図は数学科目全体だけです。

①z=x+iyとしてcos z=10を満たすすべてのzを求めます。②Möbius変換 w=(iz+1+2i)/(z−i) が半平面y>2をどの領域へ写すかを求めます。③f(z)=z³exp(−1/z²)をz=0の周りでLaurent展開し、留数と単位円上の積分を求めます。④実部u=x³−3xy²+x²−y²+xから虚部と正則関数g(z)を復元します。

問題3ごとの公式出題意図は公表されていません。

本書による推定

本書による推定:式・図形・級数・偏微分を往復する

大学は問題別の狙いを公表していません。根拠と別の可能性を併記した本書による推定です。

本書は、複素数を代数式として解くだけでなく、半平面の境界を写像し、Laurent級数のz^(−1)係数を留数として読み、Cauchy–Riemann方程式で実部から虚部を戻す力を見ると推定します。別の可能性として、四つの標準手法を短時間で切り替える速度を重く見る問題とも読めます。

05

数学 問題4:曲線、回転面、接平面、Gauss曲率

一つの曲線から長さ・面積・局所幾何を順に求めます。

大学公式の事実

公式問題文の要約:懸垂線型の曲線と回転面

2026年度公式数学問題4の要求を要約しました。大学公表の意図は数学科目全体だけです。

曲線L(u)=((e^u+e^(−u))/2)i+u k(−2≤u≤2)の長さを求めます。この曲線をz軸の周りに回した曲面S(u,v)の面積を求め、指定点Pでの接平面を出します。最後に、問題文が与えた公式を使ってGauss曲率を求めます。

問題4だけの公式出題意図・採点基準は公表されていません。

本書による推定

本書による推定:大域量と局所量を同じパラメータ表示から出す

大学は問題別の狙いを公表していません。根拠と別の可能性を併記した本書による推定です。

本書は、パラメータ微分から曲線長と面積という全体量を求め、同じ表示から接平面とGauss曲率という局所量へ進む構成だと推定します。別の可能性として、双曲線関数を使った計算整理と、与えられた曲率公式を正しく代入する力を重視した問題とも考えられます。

06

数学 問題5:Fourier変換、畳み込み、Fourier級数

変換の定義から級数の特殊値まで、周波数表示を使い分けます。

大学公式の事実

公式問題文の要約:変換三題と級数二題

2026年度公式数学問題5の要求と変換規約を要約しました。大学公表の意図は数学科目全体だけです。

Fourier変換をF(k)=∫f(x)e^(−ikx)dxと定義します。矩形関数とe^(−a|x|)cos(bx)の変換を求め、畳み込みを使って∫e^(−y²−|x−y|)dyを表します。後半では、段階関数とcos(x/2)のFourier級数係数を求め、その結果から符号が交互に変わる奇数逆数の級数を評価します。

問題5だけの公式出題意図・正答・配点は公表されていません。

本書による推定

本書による推定:時間・空間表示と周波数表示を選ぶ

大学は問題別の狙いを公表していません。根拠と別の可能性を併記した本書による推定です。

本書は、直接積分、周波数の平行移動、畳み込み定理、Fourier係数を状況に応じて使い分ける力を見ると推定します。別の可能性として、変換の2πの置き場所や区分的関数の端点など、定義に忠実な計算を重く見る問題とも読めます。

07

数学 問題6:超幾何分布、エントロピー、条件付き確率

有限個の玉を戻さずに取り出す確率を、平均・情報量・条件付けまで広げます。

大学公式の事実

公式問題文の要約:壺Aから始まる三段階

2026年度公式数学問題6の設定と要求順を要約しました。大学公表の意図は数学科目全体だけです。

赤R個、緑G個の壺Aから、戻さずにn個を取るときの赤玉数Xを考えます。まずn=2、R=3、G=6で平均と分散を求め、一般のPr(X=k)を導きます。次にn=2、R+G=7でXのエントロピーが最大になるR、Gを調べます。最後に、玉の色を変えたり壺B・Cへ移したりした後、白玉を引く事象Yについて条件付き確率を求めます。

問題6だけの公式意図は公表されていません。

本書による推定

本書による推定:数え上げから情報量、Bayes型の更新へ

大学は問題別の狙いを公表していません。根拠と別の可能性を併記した本書による推定です。

本書は、組合せで超幾何分布を作り、期待値・分散を計算し、分布全体の不確実さをエントロピーで測り、観測Yの後に条件付き確率を更新する流れを見ると推定します。別の可能性として、複数の壺操作を標本空間に正確に戻す読解力を重く見る問題とも考えられます。

08

専門物理 問題1:糸で回る剛体と、荷電球殻の歳差運動

力学の並進・回転と、磁場中の電磁力・トルクを一問で扱います。

大学公式の事実

公式問題文の要約:複合円柱と一様な薄い球殻

2026年度公式専門物理問題1の二つの設定と要求を要約しました。問別意図は大学公表ではありません。

前半は、半径r1・厚さd1の同じ二枚の円板を、半径r2で厚さを無視できる円柱がつなぐ、全質量Mの剛体に糸を巻いた設定です。糸が滑らず重力で落下するとき、重心まわりの慣性モーメント、並進・回転の運動方程式を立て、加速度をr1、r2、gで表します。

後半は、半径R、一様な面質量密度ρ、一様な面電荷密度σの薄い球殻を一様磁場B=(0,0,B)中で回します。表面要素の速度、Lorentz力、トルクを出し、球全体で積分し、各軸まわりの慣性モーメントと角速度成分の運動を求めます。σ<0、B>0で初期角度を与えたときの歳差方向も問います。

専門物理全体の公式意図は基礎と応用ですが、問題1だけの公式意図はありません。

本書による推定

本書による推定:局所の力を積分し、剛体全体の運動へ戻す

大学は問題別の狙いを公表していません。根拠と別の可能性を併記した本書による推定です。

本書は、糸の張力や表面要素のLorentz力という局所量から、重心の並進、回転、全トルク、歳差という剛体全体の運動を組み立てる力を見ると推定します。別の可能性として、外積の向き、負電荷の符号、慣性モーメントの成分を最後まで一貫させる力を重視した問題とも読めます。

09

専門物理 問題2:半調和振動子とポテンシャルの急変

摂動、無限壁、固有状態展開、時間発展を一つの系でつなぎます。

大学公式の事実

公式問題文の要約:x<0側の段差V0を変える

2026年度公式専門物理問題2の設定変更と要求順を要約しました。問別意図は大学公表ではありません。

一次元調和振動子に、x<0だけ高さV0の段差ポテンシャルを加えます。まず尺度αとm、ω、ℏの関係を確認し、小さい正のV0による基底エネルギーの一次補正を求めます。次にV0→∞でx<0が無限壁になる極限を考え、通常の調和振動子の奇関数から固有状態を作り、規格化と固有エネルギーを求めます。

最後に、半調和振動子の基底状態からV0を突然0にし、通常の基底状態への係数c0、エネルギー期待値、t=2π/ωとt=π/ωの波動関数を導きます。問題2だけの公式意図・正答・配点は公表されていません。

本書による推定

本書による推定:同じHamiltonianを三つの近似・極限で読む

大学は問題別の狙いを公表していません。根拠と別の可能性を併記した本書による推定です。

本書は、小さなV0では摂動論、無限大では境界条件と対称性、急変後は元の固有状態への展開という三つの考え方を切り替える力を見ると推定します。別の可能性として、規格化、重なり積分、位相因子を正確に追う計算力を重視した問題とも考えられます。

10

専門物理 問題3:高分子鎖のエントロピー弾性

微視的な配向の数え上げから、張力と伸びを導きます。

大学公式の事実

公式問題文の要約:一次元鎖から三次元鎖へ

2026年度公式専門物理問題3の一次元・三次元の設定と要求を要約しました。問別意図は大学公表ではありません。

前半は、長さaのN本の要素が右向き・左向きを取る一次元鎖です。両端間距離Lを固定し、右向き数N+、左向き数N−、状態数、Stirling近似したエントロピー、自由エネルギーからの張力を求めます。小さい伸びでの式、張力とLのグラフ、断熱的に伸ばしたときの温度変化も、Maxwell関係と熱容量を使って求めます。

後半は三次元鎖をz方向の力Xで引き、一要素の角度を積分して、無限温度でZが(4π)^Nになる規格化を保ちながら分配関数と、Xa/(kBT)が小さいときの力と伸びの関係を導きます。問題3だけの公式意図はありません。

本書による推定

本書による推定:数え上げを巨視的な弾性へ変換する

大学は問題別の狙いを公表していません。根拠と別の可能性を併記した本書による推定です。

本書は、微視的な配向の組合せ数からエントロピーを作り、自由エネルギーの微分を張力として読み、一次元の考えを三次元の角度積分へ広げる力を見ると推定します。別の可能性として、近似の条件L≪NaやXa≪kBTを明示し、熱力学関係の符号を正しく扱う力を重く見る問題とも読めます。

11

専門物理 問題4:一軸結晶の複屈折

電子の振動モデルから誘電率テンソル、境界条件、光線の方向まで進みます。

大学公式の事実

公式問題文の要約:振動子モデルとS・P偏光

2026年度公式専門物理問題4の物質モデル、境界、偏光ごとの要求を要約しました。問別意図は大学公表ではありません。

一軸結晶中の電子を、x・y方向の復元角振動数ωα、z方向のωβを持つ調和振動子として扱います。電場で駆動される運動から、誘電率テンソルを導きます。

次に真空と結晶の境界を考え、光軸をz、誘電率をεxx=εyy=εn、εzz=εa(εn>εa>ε0)とします。xz面内で入射するS偏光とP偏光について、境界に平行な波数成分の連続性、Maxwell方程式からDとkの関係、波数の大きさ、エネルギーが進む光線の角度を求めます。問題4だけの公式意図・解答は公表されていません。

本書による推定

本書による推定:微視的応答から異方的な光の伝わり方を導く

大学は問題別の狙いを公表していません。根拠と別の可能性を併記した本書による推定です。

本書は、束縛電子の運動という微視的モデルから方向ごとの誘電率を作り、Maxwell方程式と境界条件でS波・P波の分散関係と光線方向へ進む力を見ると推定します。別の可能性として、波数ベクトルの向きとエネルギー流の向きが異なる異方性媒質で、二つを混同しない理解を重視した問題とも考えられます。

REFERENCES

この章で確認した一次資料

公開本文の作成にあたり、以下の資料を確認しました。入試条件は変更されるため、出願時は必ず大学の最新情報と照合してください。

  • 2026年度 物理工学専攻 入学試験問題 物理学

    東京大学大学院工学系研究科 物理工学専攻|資料:2025-08-26実施|確認:2026-08-28|参照箇所:日本語PDF p.1~9、問題1~4。4問すべて解答、240分

  • 物理工学専攻 専門科目 出題の意図

    東京大学大学院工学系研究科 物理工学専攻|資料:2026年度掲載|確認:2026-08-28|参照箇所:PDF p.1。力学、電磁気学、統計熱力学、量子力学の基礎と光学・固体物理を含む応用という科目全体の意図

  • 2026年度 修士課程 一般教育科目 数学

    東京大学大学院工学系研究科|資料:2025-08-25実施|確認:2026-08-28|参照箇所:日本語版の問題1~6。物理工学専攻は6問から3問を選択、150分

  • 一般教育科目の出題の意図

    東京大学大学院工学系研究科|資料:2026-04-08|確認:2026-08-28|参照箇所:PDF p.1「数学」。科目全体の出題意図

  • 令和8(2026)年度 物理工学専攻 入試案内

    東京大学大学院工学系研究科 物理工学専攻|資料:2026年度入試|確認:2026-08-28|参照箇所:2025年8月25日の数学、8月26日の物理の実施日時