第1章 TMIを入試の構造から理解する
東京大学 大学院工学系研究科 技術経営戦略学専攻の院試対策講座から、技術・経営・社会を結ぶ教育課程と、入試で求められる数理・論文読解・研究設計の関係を整理します。
- 対象年度
- 2027年度
- 公式情報確認
- 2026年8月28日
- 公開本文
- 2,235字
- 参照資料
- 19件
まず結論:経営用語の暗記試験ではない
募集要項と公式Q&Aから、何を準備すべき試験かをつかみます。
大学公式:専攻の教育目的
大学公式・原著一次資料で直接確認できる内容です。
TMIは、科学技術と経営・経済を融合した教育研究を通じ、高度な科学技術への幅広い理解と経営学・経済学の素養を備え、戦略的構想力を発揮する人材を育てると説明しています。目標は、科学技術を活用した新産業・イノベーションの創出と持続可能な産業社会への貢献です。
大学公式:英語200点・専門400点
大学公式・原著一次資料で直接確認できる内容です。
一般入試Q&Aは、英語を200点、専門を400点とし、専門は問1が200点、問2・問3が各100点と説明しています。問1は数理の基礎的小問4題程度、問2・3は事前配布論文について論述と求解を組み合わせます。
本書の説明:三つの往復が必要
複数の一次資料を本書が統合し、意味を変えずに平易化した説明です。
この配点と出題形式を合わせると、必要なのは「式を正確に扱う」「論文の問い・方法・結果を再構成する」「技術の結果を経営・政策・社会へ翻訳する」の三つです。技術経営(MOT)の用語を多く知るだけでは、問1の計算にも問2・3の根拠ある論述にもなりません。
本書の提案:準備を三本のノートに分ける
大学の指定ではなく、公開資料に基づいて本書が提案する準備方法です。
数理ノートには定義・途中式・検算、論文ノートには研究質問・データ・方法・結果・限界、研究計画ノートには問題・対象・比較・測定・指導候補を書いてください。週末に三冊を一題へ統合すると、筆記・調査票・口述を別々に準備する無駄が減ります。
A・B・Cの三科目群を一つの研究へつなぐ
公式カリキュラムを、単なる科目名の一覧ではなく研究設計の視点として読みます。
大学公式:A・B・Cと三つの学修要素
大学公式・原著一次資料で直接確認できる内容です。
公式カリキュラムは、A群「技術開発学」、B群「経済・経営科学」、C群「社会戦略学」に、基礎科目、プロジェクト演習、技術経営戦略学研究を加えた構造です。科目一覧には製品開発、AI、企業・財務、実証分析、知財、政策、資源循環などが示されています。
大学公式:2027年度入学者に関わる修了要件
大学公式・原著一次資料で直接確認できる内容です。
2026年度便覧の「令和7年度以降入学者」の規定では、修士はQuantitative Methods 4単位、A・B・C各4単位を含む計30単位以上を履修します。博士は技術経営戦略学研究II 10単位を含む計20単位以上です。
本書の説明:一題を三方向から見る
複数の一次資料を本書が統合し、意味を変えずに平易化した説明です。
例として配送AIなら、Aは予測モデルと製品・運用設計、Bは費用・需要・因果効果・意思決定、Cは労働負担・脱炭素・規制・公平性を問います。三群は別々の話題棚ではなく、一つの技術を「作る・経営する・社会に置く」ための視点です。
本書の提案:研究テーマをA/B/Cの一文にする
大学の指定ではなく、公開資料に基づいて本書が提案する準備方法です。
志望テーマについて、A「何の性能・仕組みを扱うか」、B「誰の意思決定や成果をどう測るか」、C「どの制度・外部性・公平性が関わるか」を各一文で書いてください。三文の共通主語が曖昧なら、研究対象がまだ広すぎます。
公式授業から研究方法の具体像をつかむ
2026年度シラバスを、2027年度の開講保証と混同せずに読みます。
大学公式:数量分析の中核
大学公式・原著一次資料で直接確認できる内容です。
2026年度Quantitative Methods for Management and Policy Analysisは4単位で、最適化、意思決定理論、シミュレーション、情報処理、交通モデル・分析を講義と問題演習で扱います。修士修了要件でも同名科目4単位が位置づけられています。
大学公式:A群の技術と開発
大学公式・原著一次資料で直接確認できる内容です。
2026年度「深層学習」はニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、系列処理、Transformer、大規模言語モデル(LLM)、強化学習、生成モデルを扱い、Pythonと線形代数の準備を勧めています。「技術・製品開発マネジメント」は競争戦略、組織能力、製品アーキテクチャ、プラットフォーム、発見と開発を扱います。
大学公式:B群とC群の方法
大学公式・原著一次資料で直接確認できる内容です。
2026年度Empirical Methods in Applied Economicsは最小二乗法(OLS)、内生性、パネル、ベイズ、ランダム化比較試験(RCT)、準実験、差の差などを扱います。「イノベーションと知的財産」は産業生態系、循環経済、ビジネスモデル、知財・標準をマクロ・ミドル・ミクロの層で扱います。
大学公式:調査を研究へ変える演習
大学公式・原著一次資料で直接確認できる内容です。
2026年度プロジェクト特別演習1は、関連研究調査、研究フィールド調査、スタートアップ関連の業界・市場調査のいずれかを、指導教員の許可を受けた事前計画と最終レポートにつなげます。
学位・研究指導・年度の境界
制度上確定していることと、翌年度には変わり得ることを分けます。
大学公式:研究指導と学位
大学公式・原著一次資料で直接確認できる内容です。
工学系研究科規則は、学生が指導教員の下で授業科目を履修し研究指導を受け、必要単位、学位論文、最終試験を経る枠組みを定めます。TMI修士の学位は修士(工学)、博士は博士(工学)または博士(学術)です。
本書の説明:規則上のコースとA・B・Cの違い
研究科規則と専攻カリキュラムを本書が照合して整理した説明です。
研究科規則が列挙する専攻内コースに、技術経営戦略学専攻の固有コースは置かれていません。A・B・Cは履修上の科目群であり、出願時に選ぶ三つの別コースではありません。
未公表:2027年度の全授業時間割
2026年8月28日時点の公開一次資料では確認できない事項です。
ここで紹介した個別授業は2026年度便覧・シラバスの例です。2027年度も同じ担当、曜日、時限、言語、実施形態で開講されることは、確認した一次資料では確定していません。
本書の提案:授業名ではなく問いと方法を先に置く
大学の指定ではなく、公開資料に基づいて本書が提案する準備方法です。
研究計画に「深層学習を学びたい」とだけ書かず、「何を予測し、その予測で誰の意思決定をどう改善し、誤差や不公平を何で評価するか」まで書いてください。科目はその問いに必要な能力を補う位置に置きます。
公式資料の版面不一致を黙って直さない
現行入口、リンク先実体、共通要項、専攻Q&Aの役割を区別します。
大学公式:現行ページは2027年度、英語ラベルは2025のまま
大学公式ページとリンク先公式PDFの表示を照合した事実です。
専攻の現行入試ページは2027年度一般入試を掲示し、リンク先の専攻案内・共通要項も表紙と内容が2027年度です。一方、関連資料欄の周辺英語ラベルには「2025 Master’s Program」「2025 Doctoral Program」が残っています。
本書の説明:書類の役割と最終判定を混同しない
表現の異なる三つの公式資料を、役割を変えずに並べた説明です。
研究科共通要項は筆記・口述・提出書類等による総合的な選考を示し、専攻調査票は書類選考と口述参考に使うとします。一方、TMIのQ&Aは修士の最終合否を筆記・口述の得点で判断すると説明します。書類が最終得点へ何点加算されるとも、最終判定で全く参照されないとも推測しません。
大学公式:2027年度ページの更新履歴
専攻の現行入試ページに掲載された更新履歴です。
現行入試ページは、2026年4月20日に調査票様式変更、4月25日に研究指導教員一覧公開、5月2日に説明会録画公開という更新履歴を掲示しています。
未公表:TMI修士B日程の実施
2026年8月28日時点の年度指定資料でTMI実施を確認できない事項です。
修士B日程は研究科全体として実施する場合があるとされますが、TMIが実施すると確認できる年度指定の専攻資料は見つかりません。存在しない出願経路を推定で補いません。
この章で確認した一次資料
公開本文の作成にあたり、以下の資料を確認しました。入試条件は変更されるため、出願時は必ず大学の最新情報と照合してください。
- 入試情報 Admissions
東京大学大学院工学系研究科 技術経営戦略学専攻|資料:2026-08-28|確認:2026-08-28|参照箇所:2027年度一般入試、更新履歴、現行資料・過去問への入口
- 2027年度 技術経営戦略学専攻 入試案内書
東京大学大学院工学系研究科 技術経営戦略学専攻|資料:2026-04-03|確認:2026-08-28|参照箇所:PDF p.2~7。教育目的、修士・博士の選考、日程、事前相談
- 2027年度 修士課程受験者の調査票様式
東京大学大学院工学系研究科 技術経営戦略学専攻|資料:2026-04-20|確認:2026-08-28|参照箇所:PDF表示p.1~5。提出4ページ、各欄、10.5pt、生成AI開示
- 入試情報 Q & A
東京大学大学院工学系研究科 技術経営戦略学専攻|資料:2026-04-20|確認:2026-08-28|参照箇所:問1~3の範囲・配点、TOEFL、合否、配属、就業、併願
- 令和9(2027)年度 工学系研究科 修士課程学生募集要項
東京大学大学院工学系研究科|資料:2026-04-03|確認:2026-08-28|参照箇所:PDF p.2~8。出願、募集人員、科目、発表、費用
- 令和9(2027)年度 工学系研究科 博士後期課程学生募集要項
東京大学大学院工学系研究科|資料:2026-04-03|確認:2026-08-28|参照箇所:PDF p.3~10、p.13~14。A・B日程、科目、発表、費用
- 一般入試・募集要項
東京大学大学院工学系研究科|資料:2026-08-28|確認:2026-08-28|参照箇所:2027年度募集要項・変更情報の現行入口
- 東京大学大学院工学系研究科規則
東京大学|資料:2026-08-28|確認:2026-08-28|参照箇所:PDF p.1~3、第2条の3、第3~7条、第11~14条
- 2026年度 工学系研究科便覧
東京大学大学院工学系研究科|資料:2026年度|確認:2026-08-28|参照箇所:PDF p.257、306~308。TMI科目表、2027年度入学者の修了要件
- カリキュラム
東京大学大学院工学系研究科 技術経営戦略学専攻|資料:2026-08-28|確認:2026-08-28|参照箇所:A・B・C群、基礎科目、プロジェクト演習、研究
- 科目一覧
東京大学大学院工学系研究科 技術経営戦略学専攻|資料:2026-08-28|確認:2026-08-28|参照箇所:A・B・C各群の科目名、担当、概要
- Quantitative Methods for Management and Policy Analysis 2026年度授業カタログ
東京大学|資料:2026-08-26|確認:2026-08-28|参照箇所:科目番号3792-142、4単位、内容、授業方法
- 深層学習 2026年度授業カタログ
東京大学|資料:2026年度|確認:2026-08-28|参照箇所:2単位、授業計画、履修上の注意
- 技術経営戦略学プロジェクト特別演習1 2026年度授業カタログ
東京大学|資料:2026年度|確認:2026-08-28|参照箇所:2単位、事前計画、調査、最終レポート
- Empirical Methods in Applied Economics 2026年度授業カタログ
東京大学|資料:2026-08-26|確認:2026-08-28|参照箇所:OLS、内生性、パネル、ベイズ、RCT、準実験、差の差
- イノベーションと知的財産 2026年度授業カタログ
東京大学|資料:2026年度|確認:2026-08-28|参照箇所:産業生態系、循環経済、ビジネスモデル、知財・標準
- 2026年度 技術経営戦略学専攻 入学試験問題
東京大学大学院工学系研究科 技術経営戦略学専攻|資料:2026年度入試|確認:2026-08-28|参照箇所:PDF p.1、6~12。120分、3問、数理問題と論文問題
- 数理的及び論理的思考能力を見るための問題の出題の意図
東京大学大学院工学系研究科 技術経営戦略学専攻入試委員会|資料:2026年度入試|確認:2026-08-28|参照箇所:PDF p.1。問1の分野、問2・3の意図
- 技術・製品開発マネジメント 2026年度授業カタログ
東京大学|資料:2026年度|確認:2026-08-28|参照箇所:2単位、製品開発、アーキテクチャ、プラットフォーム、演習