第5章 二人のメンターを、名前ではなく研究の組合せで選ぶ
筑波大学 グローバル教育院(2027年4月に学際創成学術院へ移行予定) ヒューマニクス学位プログラム(5年一貫制博士課程)の院試対策講座から、ダブルメンターの仕組み、代表的な四教員の役職・専門・授業・近年研究・研究拠点・取得予定学位、施設利用の未確認事項を整理します。
- 対象年度
- 2027年度
- 公式情報確認
- 2026年8月24日
- 公開本文
- 3,009字
- 参照資料
- 14件
ダブルメンターの仕組み
生命医科学と理工情報学から一人ずつ選ぶ制度と、出願前承諾・入学後の正式決定を確認します。
大学公式の事実:生命医科学と理・工・情報学から一人ずつ
現行プログラムの公式メンター案内と出願書類に記載された指導の仕組みです。
現行ヒューマニクスでは、生命医科学から1名、理・工・情報学から1名、合計2名のメンターを選びます。公式サイトは、二人の教員が共同研究を行い、それぞれの研究室で学生を指導する「ダブルメンター」と説明しています。出願時には二人の希望を入力して事前承諾を得ますが、副メンターは入学後に正式決定されます。メンター一覧にいない教員を副メンターとして希望することも可能ですが、出願前にSIGMA事務室へ相談しなければならず、希望どおりになるとは限りません。
本書による説明:教員名ではなく二つの研究方法を組み合わせる
公式のダブルメンター制と各教員の情報を、志望教員選びの観点へ言い換えた本書の説明です。
本書では、二人のメンターを、著名な教員名を二つ並べる制度として扱いません。生命医科学側の現象・試料・疾患に関する問いと、理工情報側の計測・装置・解析・モデルを、同じ研究計画で動かせる組合せかを確認します。以下の四人は、現行メンター一覧、2026年度カリキュラム、筑波大学研究者総覧TRIOSを照合した代表例です。全員を網羅する一覧ではありません。
代表的なメンター候補4人
役職、専門、取得予定学位、担当授業、近年の研究、確認できる研究拠点を一人ずつ示します。
大学公式の事実:柳沢正史教授
現行メンター一覧、2026年度カリキュラム、筑波大学研究者総覧で確認した役職・専門・学位・授業・研究・拠点です。
柳沢正史教授は、国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)の教授・機構長です。現行メンター一覧では生命医科学側の睡眠医科学を専門とし、主メンターとする場合の取得予定学位は博士(医学)です。2026年度の担当科目例は神経科学特論です。
TRIOSでは、フォワード・ジェネティクスによる睡眠覚醒の分子生物学、睡眠と冬眠を新世代医療へつなぐ研究課題が確認でき、2025年までの睡眠関連の論文・共同研究成果が掲載されています。研究拠点としてWPI-IIISが確認できます。
大学が公表していない情報:柳沢研究室の設備利用と2027年度受入れ
研究拠点の存在と、個々の学生が利用・指導を受けられる条件を区別しています。
WPI-IIISという研究拠点の存在は確認できますが、ヒューマニクス学生が個々の装置・データ・動物実験設備を利用できる条件、2027年度の受入れ人数、柳沢教授が新プログラムで主メンターを担当するかは公表資料だけでは確定できません。
大学公式の事実:川口敦史教授
現行メンター一覧、2026年度カリキュラム、筑波大学研究者総覧で確認した役職・専門・学位・授業・研究課題・研究室です。
川口敦史教授は医学医療系の教授で、現行メンター一覧では生命医科学側の感染生物学を専門とし、主メンターとする場合の取得予定学位は博士(医学)です。2026年度の担当科目例には、ヒューマニクス研究フォーラム、生命医科学基礎実習、Scientific Writing and Publishing、国際ラボローテーション、ヒトの感染と免疫があります。
TRIOSでは、インフルエンザ感染後の二次性細菌性肺炎、ウイルス性心筋炎、SARS-CoV-2などの研究が確認できます。2025~2026年度の研究課題には、貪食受容体を安定発現するマクロファージを用いた二次性細菌性肺炎への細胞療法があり、2024~2027年度には呼吸器ウイルス感染に伴う急性心筋炎の発症機構と制御に関する課題が掲載されています。研究室として健康医科学イノベーション棟501が記載されています。
大学が公表していない情報:川口研究室の設備と受入人数
研究室の所在地と、学生が利用できる設備・受入条件を区別しています。
健康医科学イノベーション棟501という研究室の場所は確認できますが、利用できる個別設備、研究試料・データへのアクセス条件、年間の受入人数、2027年度新プログラムでの受入れ可否は公表されていません。
大学公式の事実:鈴木健嗣教授
現行メンター一覧、2026年度カリキュラム、筑波大学研究者総覧で確認した役職・専門・学位・授業・研究・拠点です。
鈴木健嗣教授はシステム情報系の教授・系長で、サイバニクス研究センターに所属します。現行メンター一覧では理・工・情報学側のサイバニクス・人工知能を専門とし、主メンターとする場合の取得予定学位は博士(工学)です。2026年度の担当科目例はサイバニクスです。
TRIOSでは、人支援ロボット、拡張生体技術、HCI・HRIに関する研究が確認できます。2025年の研究成果には、ロボット支援による上肢運動をfNIRSで調べる研究、ラットの四足歩行を支援するロボット外骨格の研究が掲載されています。2024~2026年度には、誤嚥リスクを扱うAI嚥下解析のプログラム医療機器に関する研究課題も確認できます。研究拠点としてサイバニクス研究センターが掲載されています。
大学が公表していない情報:サイバニクス研究センターの利用条件
研究拠点名が公表されていることと、学生が設備やデータを利用できることを分けています。
サイバニクス研究センターという拠点は確認できますが、共同利用の条件、装置予約、臨床データへのアクセス、学生ごとの安全講習、2027年度の受入れ可否は公開資料では確定できません。
大学公式の事実:北原格教授
現行メンター一覧、2026年度カリキュラム、筑波大学研究者総覧で確認した役職・専門・学位・担当科目の確認結果・研究・研究室です。
北原格教授は計算科学研究センターの教授です。現行メンター一覧では理・工・情報学側の計算メディアを専門とし、主メンターとする場合の取得予定学位は博士(工学)です。2026年度ヒューマニクス科目表では、北原教授の氏名が担当欄にある科目を確認できなかったため、担当授業名を推測して補っていません。
TRIOSでは、コンピュータビジョン、自由視点映像、複合現実感、深層学習を研究分野・キーワードとして確認できます。2025~2028年度には、共感を伴うコミュニケーションを目的とする視点変換鏡の映像メディア研究を実施しています。研究室として計算科学研究センターCCS 307が掲載されています。
大学が公表していない情報:北原研究室の利用範囲と2027年度受入れ
所属・研究室の存在と、学生の設備利用・受入条件を区別しています。
計算科学研究センターと研究室CCS 307は確認できますが、ヒューマニクス学生が利用できる計算資源・撮影設備・データの範囲、2027年度新プログラムでの受入れ可否は公表されていません。
研究の組合せと面談で確認すること
大学が示す融合研究例を読み、メンター候補を五項目で比較し、設備利用を具体的に尋ねます。
大学公式の事実:二分野が同じ実験計画へ入る融合研究例
現行プログラムの公式メンター案内に掲載された融合研究例です。
プログラム公式サイトが示す融合研究の実例には、整形外科・再生医療とサイバニクスを組み合わせ、装着型サイボーグHALを中枢神経・脊椎疾患へ応用して歩行を解析する研究があります。また、睡眠神経科学とMRI医療物理学を組み合わせ、新しいfMRI計測法でマウス睡眠中の機能ネットワークを明らかにする研究も示されています。
本書による説明:抽象的な「医学とAIの融合」との違い
大学の融合研究例を、研究計画を読む観点へ言い換えた本書の説明です。
本書は、公式の融合研究例を、「医学テーマにAIを足す」という抽象的な組合せとは区別して読みます。医学側が明らかにしたい疾患・生体機能と、工学側が提供する装置・測定・解析が、同じ実験計画に入っています。受験生の研究計画でも、二人の教員が別々のテーマを担当するのではなく、同じデータと評価項目を共有できるかを確かめる必要があります。
本書の提案:メンター候補を比較する5項目
大学指定の選考表ではなく、公式のメンター情報を比較するために本書が提案する五項目です。
本書では、メンター候補を次の5項目で比較することを提案します。
- 主となる研究上の問い:二人が同じ問いに答えられるか
- 学生が日常的に行う作業:実験、被験者計測、装置開発、プログラミング、数理解析のどれが中心か
- 必要なデータへの道筋:新規取得か既存データか、倫理審査や施設利用が必要か
- 学位と審査:どちらを主メンターにし、どの博士学位を目指すか
- 5年間の共同指導:研究室間の移動、会議頻度、データ管理、論文の責任分担をどうするか
本書の提案:設備を対象と手順まで示して尋ねる
大学が指定する質問ではなく、施設利用を研究計画に落とすための本書の提案です。
最初の面談では、「研究室の設備は使えますか」と一括して尋ねるのではなく、「小動物の睡眠脳波を新規取得する計画で、装置利用の訓練、動物実験承認、解析用データの持出しにはどの条件がありますか」のように、対象と手順を示して質問してください。公開サイトに研究拠点名があることと、入学した学生がすべての設備を自由に使えることは同じではありません。
本書による推定:知名度より研究・データ・指導の一致
合否への影響を大学が公表したものではなく、研究計画の具体性についての本書の推定です。
柳沢正史教授と鈴木健嗣教授のように著名な教員二人を選べば有利になる、という根拠は大学から公表されていません。本書は、教員名の知名度より、研究上の問い、取得可能なデータ、二人の方法の分担、5年間の指導可能性が一致していることの方が、研究計画を具体化しやすいと推定します。
大学が公表していない情報:2027年度の受入れ可否
2026年8月24日時点で確定した新プログラムのメンター受入れ一覧が公表されていないため、未公表として示しています。
個々の教員が2027年度の新プログラムで学生を受け入れるか、主メンターまたは副メンターとして何人を指導できるか、二研究室の会議頻度、データ管理、設備利用条件は公表されていません。現行メンター一覧に氏名があることだけで、2027年度の受入れを確定事項として扱うことはできません。
この章で確認した一次資料
公開本文の作成にあたり、以下の資料を確認しました。入試条件は変更されるため、出願時は必ず大学の最新情報と照合してください。
- ヒューマニクス学位プログラム 一般入学試験(令和9年度)
筑波大学|資料:2027年度入試(2026年掲載)|確認:2026-08-24|参照箇所:重要なお知らせ、募集要項トップ、入試日程リンク
- 学際創成学術院 G-SIGMA
筑波大学|資料:2027年4月開設計画(2026年掲載)|確認:2026-08-24|参照箇所:「学際創成学術院G-SIGMAとは」「5学位プログラム」「ヒューマニクス学位プログラム」「入学者選抜」
- 令和9年度入学者選抜の概要
筑波大学|資料:2027年度入学者選抜(2026年4月掲載)|確認:2026-08-24|参照箇所:冊子18~19頁(PDF 17~18頁)「学際創成学術院ヒューマニクス学位プログラム」
- Web入力及び出願書類等
筑波大学|資料:2027年度入試(2026年掲載)|確認:2026-08-24|参照箇所:「3.Web入力及び出願書類等」内の研究計画書、研究分野およびメンター教員、推薦書、英語スコア
- 選抜方法等
筑波大学|資料:2027年度入試(2026年掲載)|確認:2026-08-24|参照箇所:「6.選抜方法等」内の8月実施一般入学試験・社会人特別選抜、1~2月実施入試
- 履修方法・修了要件 ヒューマニクス学位プログラム(5D)
筑波大学|資料:2026年度|確認:2026-08-24|参照箇所:1頁「修了単位数」「博士論文研究基礎力審査(QE)」「博士論文審査」「最終試験」「科目区分」
- ヒューマニクス学位プログラム カリキュラム
筑波大学ヒューマニクス学位プログラム|資料:2026年度|確認:2026-08-24|参照箇所:コース概要、科目番号・単位・担当教員・授業概要、QE
- ヒューマニクス学位プログラム メンター
筑波大学ヒューマニクス学位プログラム|資料:2026年8月24日時点の現行一覧|確認:2026-08-24|参照箇所:ダブルメンターの説明、筑波大学内メンターの所属・職名・専門・取得予定学位、融合研究例
- ヒューマニクスについて
筑波大学ヒューマニクス学位プログラム|資料:2026年8月24日時点の掲載内容|確認:2026-08-24|参照箇所:ダブルメンター、リバースメンター、国際性、連携研究拠点
- 入試情報・Q&A
筑波大学ヒューマニクス学位プログラム|資料:2026年8月24日時点の掲載内容|確認:2026-08-24|参照箇所:「入学を希望する方へ」「希望研究室」「Q&A」「修了要件」
- 柳沢正史 研究者情報
筑波大学研究者総覧 TRIOS|資料:2026年8月24日時点のプロフィール、2025年までの研究業績|確認:2026-08-24|参照箇所:所属、職名、研究キーワード、研究課題、論文
- 川口敦史 研究者情報
筑波大学研究者総覧 TRIOS|資料:2026年8月24日時点のプロフィール、2027年度までの研究課題|確認:2026-08-24|参照箇所:所属、職名、研究室、研究キーワード、研究課題、学内運営
- 鈴木健嗣 研究者情報
筑波大学研究者総覧 TRIOS|資料:2026年8月24日時点のプロフィール、2025年までの研究業績|確認:2026-08-24|参照箇所:所属、職名、研究キーワード、研究課題、論文、担当授業
- 北原格 研究者情報
筑波大学研究者総覧 TRIOS|資料:2026年8月24日時点のプロフィール、2028年度までの研究課題|確認:2026-08-24|参照箇所:所属、職名、研究室、研究分野、研究キーワード、研究課題