第5章 公式過去問の公開境界と本書独自の実験問題
東京大学 大学院医学系研究科 医科学専攻(修士課程)の院試対策講座から、販売過去問を取得していない状態で問題や作問者を作らず、独自練習には明確な表示と五つの解説を付けます。
- 対象年度
- 2027年度
- 公式情報確認
- 2026年8月24日
- 公開本文
- 1,966字
- 参照資料
- 5件
過去問について確認できたこと・できないこと
販売案内とウェブ公開を混同せず、問題別解説を作れる根拠があるかを示します。
大学が公表していない情報:ウェブ上の問題本文・公式解答・出題意図
2026年8月24日時点の公開一次資料では確認できないため、推測で補っていません。
医学系研究科の公式入試ページは、過去の入試問題を東京大学文学部複写センターで販売すると案内しています。しかし、公式ウェブ上には、医科学専攻修士課程の実施済み問題本文、年度別の問題番号、大学公表の解答例、採点基準、出題意図を掲載していません。本章の制作時点では販売される正規問題集を購入していないため、一問ずつ解説できる根拠がありません。
作問者の氏名も公表されていません。受入教員の専門や前年授業だけから作問者を推定しません。正規問題集を取得した後は、実施日、課程、入試区分、基礎・専門総合・小論文の別、選択分野、問題番号、頁を記録し、大学公表情報と本書の答案例を分ける必要があります。
本書独自練習:可逆的介入から因果を読む
公式問題ではない実験設計問題に、読み方、構成、解答例、用語、失点例を付けます。
本書の提案:独自問題と問題文の読み方
大学が指定する答案や手順ではなく、公開資料に基づく本書の提案です。
これは大学が公表した過去問ではありません。2027年度に同じ問題が出ると予測するものでもありません。本書が、細胞生物学、実験設計、統計的解釈を練習するために作った問題です。
独自問題:成体マウスで神経細胞のオートファジーを薬剤により停止・再開できる系を作った。対照群、8週間停止群、4週間停止後に4週間再開した群を比較した。8週時点の異常タンパク質量は対照を100とすると、停止群230、再開群120で、運動スコアは対照100、停止群55、再開群90だった。各群10匹である。この結果から言えることと言えないことを区別し、可逆性をより強く示す追加実験を800字程度で述べなさい。
読むときは、操作、比較群、時間、二つの結果指標、標本数を分けます。「再開群が対照へ近づいた」と「同じ個体で停止前の状態へ戻った」は同じではありません。薬剤の副作用、群分け、評価者、開始前値、性別、死亡・脱落、ばらつきが書かれていない点を拾います。
本書の提案:答案の組み立て
大学が指定する答案や手順ではなく、公開資料に基づく本書の提案です。
800字なら、①観察結果、②支持される解釈、③まだ言えないこと、④追加実験、⑤医学的意味の五段落にします。
第一段落で停止群と再開群の数値を対照比で示します。第二段落で、再開後に二指標が対照へ近づくことは回復可能性と整合すると書きます。第三段落で、個体内変化、ばらつき、統計的不確実性、薬剤の非特異作用が不明だと示します。第四段落で無作為化、盲検、開始前・2・4・6・8週の反復測定、薬剤のみ対照、独立した分子・形態・行動指標、十分な標本数を提案します。第五段落で、細胞内品質管理の再活性化が機能回復へ結び付く条件を述べます。
本書の提案:具体的な解答例
大学が指定する答案や手順ではなく、公開資料に基づく本書の提案です。
8週間停止群では異常タンパク質量が対照の2.30倍、運動スコアが55%である一方、4週後に再開した群では各1.20倍、90%まで対照へ近づいた。したがって、オートファジー再開後に分子指標と機能指標が改善する可能性を結果は支持する。しかし、各群の平均値だけでは分散や信頼区間が分からず、再開群の同じ個体が停止時から回復したことも直接示していない。薬剤の標的外作用、群間の開始前差、評価者の期待も代替説明になる。
追加実験では、同腹・性別を考慮して無作為割付し、評価者を群情報から盲検化する。停止薬剤だけを投与して標的が反応しない遺伝学的対照も置く。各個体を開始前から2週ごとに追跡し、異常タンパク質、オートファジーフラックス、軸索・シナプス形態、運動・認知を独立に測る。4週停止時に障害が成立したことを確認してから再開し、停止継続群との時間変化の差を解析する。事前に主要評価項目と必要標本数を定め、効果量と信頼区間を示す。再停止で再び悪化するかも確認すれば、操作と表現型の対応をさらに強く検証できる。
本書による説明:用語を短く定義する
複数の一次資料を受験生が比較しやすい形に言い換えた本書の説明です。
オートファジーは、細胞内成分をリソソームへ運び分解・再利用する仕組みです。可逆的操作は、介入をオン・オフして状態の変化と回復を追える操作です。縦断測定は、同じ個体を複数時点で測ることです。盲検化は、評価者が群を知らない状態で結果を測り、期待による偏りを減らす方法です。標的外作用は、薬剤が目的分子以外へ及ぼす効果です。
答案では用語名を並べず、「同じ個体を4週と8週に測る縦断測定なら、群平均の違いだけでなく個体内の回復を示せる」のように問題へ結び付けます。
本書の提案:失点しやすい書き方
大学が指定する答案や手順ではなく、公開資料に基づく本書の提案です。
第一の失点は、再開群の値が対照へ近いだけで「完全に元へ戻った」と断定することです。開始前の同一個体データと不確実性がありません。第二は、各群10匹という数字だけを見て「十分」と書くことです。効果のばらつきと検出したい差から標本数を設計する必要があります。第三は、「対照群を増やす」とだけ書き、薬剤、遺伝背景、時点、盲検のどれを統制するか示さないことです。
第四は、異常タンパク質と運動の二つが同時に改善したことを、そのまま分子から行動への因果機序とみなすことです。時間順序、用量、細胞種、独立した機能測定を追加します。第五は動物福祉を書かないことです。必要最小数、苦痛軽減、中止基準を研究設計に含めます。
この章で確認した一次資料
公開本文の作成にあたり、以下の資料を確認しました。入試条件は変更されるため、出願時は必ず大学の最新情報と照合してください。
- 大学院医学系研究科入学
東京大学|資料:2026-08-24時点|確認:2026-08-24|参照箇所:令和9年度入試、入試日程、海外在住者、過去の入試問題
- 令和9(2027)年度 医科学専攻 修士課程 入学試験案内
東京大学|資料:2026-04-10現在|確認:2026-08-24|参照箇所:2~10頁
- 2026年度 医科学専攻修士課程シラバス
東京大学|資料:2026年度|確認:2026-08-24|参照箇所:4~11頁、38頁、41頁、59頁、64頁、77~79頁
- Mizushima Laboratory – About
Mizushima Laboratory, The University of Tokyo|資料:2026-08-24時点|確認:2026-08-24|参照箇所:Research approach、model organisms、location
- Reversible suppression of autophagy in a mouse model reveals neuronal resilience
National Library of Medicine|資料:2026-06-25|確認:2026-08-24|参照箇所:Science 392(6805):1363-1368, DOI 10.1126/science.ady3911